一般講演15

Nanoarchaeum equitans TyrRSによるtRNATyrの認識、 及びアミノアシル化機構の解明

堀越達也
東京理科大学大学院 基礎工学研究科 生物工学専攻
  Nanoarcheum equitans(以下N. equitans)とは超好熱古細菌であり、熱水噴出孔のような場所で生活をする生物である。熱水噴出孔は様々な物質が豊富であり、連続的に大量のエネルギーを安定して獲得できることから生命の起源の舞台として考えられている。N. equitansは非常に小さなゲノムサイズであり、生命の起源だと考えられている熱水噴出孔で生活をしていることから原始的な生物だと考えられる。
  アミノアシル化は核酸であるtRNAを生命活動に必要なタンパク質へと変換する重要なステップとなっており、このアミノアシル化こそが生命の進化における重要な土台を築いていった可能性がある(図1)。従って、アミノアシル化機構を解明することによってtRNAの進化に関する知見を得ることができると考えている。
  N. equitansには注目すべき点がある。N. equitansのtRNATyrは通常の生物が持つtRNATyrとは異なる特徴がある。これはN. equitansのみに見られる特徴であり、生命が進化する上での分岐点の可能性があり、実験をすすめることにした。 以上のことからN. equitansのtRNATyr及び、機能上重要な繋がりがあるTyrRSの研究を行うことにした。TyrRSとはアミノアシルtRNA合成酵素の1種でtRNATyrを認識しTyrを結合させる機能を持つ。そこでN. equitans におけるTyrRSとtRNATyrのアミノアシル化機構を解明する
  ことを目指した。 現在はN. equitans TyrRSがtRNATyrの“どこを”認識するか調べており、一般的な生物とどのように認識が異なるか実験中である。