一般講演7

アミノアシルtRNA合成酵素を用いた全生物の分子系統解析

○中川穂、横堀伸一、山岸明彦
東京薬科大学大学院 生命科学科専攻 細胞機能学研究室
  全生物は真核生物、真正細菌、古細菌の3つに分けられるとする3ドメイン説が現在広く受け入れられている。(Woese, C. R. et al., 1990)しかし、ドメイン間の系統関係については諸説ある。例えば、古細菌が1つのドメインにならず、真核生物が古細菌の内群となるEocyte説(Rivera, M. C. & Lake, J. A., 1992)など、3ドメイン説に対立する仮説もが存在し、議論が続いている。
  また、多くの生物に共通するタンパク質があることなどから、全生物は1つの共通する祖先から進化してきたと広く考えられている。共通祖先の系統学的位置は、共通祖先以前での遺伝子重複によって生じたパラログな遺伝子とされる配列を用い、複合系統樹を作成する事によっての推定できると提案された。(Iwabe. N. et al., 1989)
   我々のグループは全生物の系統関係および、全生物の共通祖先の系統学的位置を明らかにする事を目標とし、様々なタンパク質を用いて分子系統解析を行っている。
   本研究では、解析のターゲットとしてアミノアシルtRNA合成酵素(ARS)に注目した。ARSの分子系統解析を行う。ARSは翻訳系に関わる酵素であるため、どのドメインの生物も持っていると期待される。
   本研究では、すでに解析されたアミノ酸配列データを用いて解析を行う。本研究室で作成された118種からなるデータベースより目的タンパク質のアミノ酸配列を収集し、分子系統解析を行っている。これまでにClassⅡARSであるSerRS, ThrRSの解析を行ってきた。現在は、同じくClassⅡARSのProRSの解析を進めている。ProRSを解析した後、SerRS, ThrRS, ProRSの3つのARSを用いたSerRS/ThrRS/ProRS複合系統樹を作成する。また、ClassⅠARSであるTrpRS及びTyrRSの解析も進めており、TrpRS/TyrRS複合系統樹を作成する。
   ここでは、得られているSerRS, ThrRS個別の系統樹を用い、全生物と真核生物の系統的位置関係について、特に真核生物の起源に焦点を当て、議論する。

Return to Japanese Contents

Return to English Contents