学会参加を通して

筑波大学大学院 生命環境科学研究科
尾﨑 晴香
Graduate School of Life and Environmental Sciences, University of Tsukuba Haruka Ozaki
s0921260@u.tsukuba.ac.jp

   函館の地に降り立ったときの肌を突き刺すような寒さも,薄日の射す空から綿のように舞い落ちる雪も,懇親会の夜にガラス窓の向こうに見えた吹雪の凄まじさも,あのとき体験したことは1年経った今でも鮮明に思い出すことが出来ます.
   2010年3月に開催された生命の起原および進化学会は,私にとって2度目の学会発表で,初めての口頭発表の機会となりました.この学会の中で私は,「トリプトファナーゼによるD-セリンからのトリプトファン合成反応経路の検討」というテーマで発表を行いました.通常L-セリンからしか起こらないトリプトファナーゼによるL-トリプトファンの合成反応が高濃度リン酸アンモニウム存在下においてはD-セリンからも可能になるという事実から,D-セリンからのL-トリプトファン合成反応経路について研究を行い,その成果を発表しました.この学会を通じて,発表の準備やプレゼンテーションの練習など研究者にとって当たり前のことを初めて一通り経験したわけですが,発表ぎりぎりまで構成の変更をしたり,練習不足もあって大変緊張していました.普段のゼミや研究発表の場とは違う,「学会」という場の雰囲気にのまれて焦ってしまい堂々と喋ることが出来ず,また質問等に的確に答えることが出来なかったことは苦い思い出ではありますが,今後にとってとてもよい勉強となりました.
   また学会では,様々な視点での研究発表があり,自分以外の他の方々の発表についても大変興味深く拝聴させていただきました.特に今まで周囲で殆ど出会ったことのなかった同じくホモキラリティーについて研究をしている方々と出会えたことは,ちょっとした驚きであったと同時にとてもよい刺激になりました.また複雑系の研究などお話が難しすぎて内容はあまり理解出来ませんでしたが,こんな学問分野もあるんだと新たな発見もあり,面白かったです.
   研究発表以外の時間も私にとってはとてもよい経験となりました.他大学の先生方や,同じ大学院生の方々,地元の函館未来大の学生達との出会いと触れ合いは,いつもの日常とは違う新鮮で貴重な楽しい時間でした.初対面の先生方が,まだまだ半人前以下である私の話に耳を傾けて下さり,気さくに話しかけていただいたことはとても嬉しかったです.その意味でも今回の学会に参加することが出来たことは本当に有意義な経験になったと思っています.
   卒業後の4月からは,一企業人として,さらに研究を進めることになりました.生命の起原というテーマからは離れてしまいますが,世の中の研究をサポートしていく立場の仕事ですので,皆さまの研究のお役に立てればと思っています.また,今後ともこれまでの研究テーマに対する関心を持ち続けていきたいです.
   最後になりましたが,昨年の生命の起原および進化学会で発表の機会をいただいたこと,その場で暖かくご指導いただいたこと,また今回Viva Originoにて投稿の場を与えて下さったことに心から感謝致します.

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