第35回 生命の起原および進化学会 学術講演会に参加して

神戸大学大学院 人間発達環境学研究科
修士2年 田邊真依子
tanabe@radix.h.kobe-u.ac.jp

   2010年3月15日から17日までの3日間に行われた,第35回生命の起原および進化学会学術講演会に参加させていただいた.当時私は修士1年であり,2011年の4月から社会人として働くための就職活動の真っ只中であった.そこで勝手ながら,初日にあった自分の講演(一般講演1)を終えた後,一般講演7までの発表を聞かせていただいたところで神戸に帰らなくてはいけなかった.自分にとって初めての北海道を1泊2日で終えてしまうことも残念であったが,やはり,講演会の発表のアブストラクトを読ませていただき,大変興味を持った他の大勢の方々の発表を聞くことができなかったことは非常に残念であった.今回,「学会への参加紀行文」ということで,私が発表を聞かせていただいたことによって感じたこと,考えたことをまとめようと思う.
   私は先日(2011年1月),修士論文を提出した.修士論文では「芳香族アミノ酸のエネルギー緩和過程」についての研究をまとめた.生命の起源,生命を構成しているアミノ酸の起源を考える際,隕石からアミノ酸が発見されたこと[1,2]から舞台を宇宙と設定することができる.そこで私達は「宇宙で何らかの方法でアミノ酸ができた後,どのような化学進化を経て地球に辿り着いたのか」に注目して研究を行っている.そのため「模擬星間物質から生成する複雑態アミノ酸前駆体の分析(一般講演4)」や「アミノ酸前駆体の加熱重縮合により生成するポリアミノ酸の解析(一般講演5)」等のアミノ酸の生成段階に関する研究は非常に新鮮であった.ホルムアルデヒドを出発材料に加えることでアミノ酸の生成量が増加することに驚いた.また,日頃,実験結果として見るポリアミノ酸といえば多くて5量体程度のため,11量体のシグナルの報告は非常に新鮮であった.
   私達はアミノ酸に照射する光として真空紫外線やX線などの高エネルギーのものを用いている.そのため「タンパク質のマイクロ波促進加水分解の際のラセミ化の挙動(一般講演6)」や「マイクロ波促進化学による生体高分子の加水分解反応(一般講演7)」等の,電磁波としてのエネルギーはそれほど大きくない,マイクロ波を用いた研究発表は非常に興味深かった.マイクロ波を用いて分析を行うことで精度よくアミノ酸が分析できると知り,驚いた.
   今回の学会の滞在期間が半日という非常に短かい時間ではあったが,有益な情報を得ることができてよかった.生命の起源は,まだ論点が多くある未解決課題だと思うが,それぞれが生命の起源というキーワードに向かって研究を積み,お互いに情報交換を行うことで謎が解明されていくと思う.学部4回生から神戸大学 中川研究室に所属したことによって,生命の起源に対して実験的にアプローチをする機会を与えられ,また,そのような生命の起源に関する最先端の研究成果が発表される本学会に所属させていただくことができ,うれしく思う.

   今後の生命の起原および進化学会のさらなる発展を願っております.

<参考文献>
[1] J. R. Cronin and S. Pizzarello, Enantiomeric excess in meteoritic amino acids, Science 275, 951-955 (1997).
[2] A. Shimoyama and C. Ponnamperuma, Amino acids in the Yamato carbonaceous chondrite from Antarctica, Nature 282, 394-396(1979).


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