REALISTIC LIFE-LIKE SYSTEMS CONSISTING OF RNA UNDER THE HYDROTHERMAL ENVIRONMENTS ON PRIMITIVE EARTH

Kunio Kawamura
Department of Applied Chemistry, Graduate School of Engineering, Osaka Prefecture University Gakuen-cho 1-1, Naka-ku, Sakai, Osaka 599-8531, Japan
k a w a mu ra@ c h e m.os a k a f u- u.a c. j p, Fax: 072-254-9910
(Received July 13, 2009; Accepted August 20, 2009)


前生物的化学に基づいてRNAワールド仮説を検証する

川村邦男
大阪府立大学大学院工学研究科物質・化学系応用化学分野
大阪府堺市中区学園町1−1
Fax: 072-254-9910

Abstract

     The RNA world hypothesis, which is becoming a most popular hypothesis, has been extensively evaluated in the last two decays. However, this hypothesis has some drawbacks. First, the hypothesis that life originated near hydrothermal vent environments (the hydrothermal origin-of-life hypothesis) appears to be inconsistent with the RNA world hypothesis. In our group, the thermal stability, the chemical evolution, and the behaviors on RNA molecules under hydrothermal conditions were systematically investigated using our monitoring methods for rapid hydrothermal reactions. Based on these empirical data, the RNA world hypothesis is discussed from the viewpoint of the hydrothermal origin-of-life hypothesis and different plausible RNA world systems are proposed. Second, the reality of the RNA world in detail is still ambiguous. Thus, several plausible RNA worlds are evaluated as life-like systems on the basis of the unified theory regarding the origin-of-life and evolution of organisms, which was recently established in our group.

(Keywords)

RNA world, hydrothermal origin-of-life, minimum life-like system, subjectivity, individuality

要旨

  RNAワールド仮説は最も人気のある生命起原の仮説の1つである.この仮説の検証は1990年代から盛んになったが様々な問題もある.第1は,生命は熱水中で誕生したとする熱水起原説と矛盾するように見えることである.我々のグループではこれを検証するために,熱水高速反応の計測法を用いたRNAの安定性・化学進化・分子挙動について系統的に研究してきた.本稿ではこれらの実験データに基づいて,熱水中でのRNAワールドの可能性を概説する.第2に,RNAワールドはどのような生命体なのかその具体像は明らかにされてこなかった.本総説では,熱水起原に関するデータおよび私たちが構築した生命起原と進化に関する理論に基づいて,RNAワールドとはどのような生命体あるいは化学システムなのかを描く.

1. 序論

  RNAワールド仮説が登場して20年以上が過ぎた[1,2].以来,「The RNA World」は第3版(CSHL Press)に至り[3],RNAワールド仮説に関する日本語の単行本も出版されている[4].1990年代から今日まで,RNAワールド仮説は国際生命の起原学会(ISSOL)の主要議題として取り上げられ,生命起原問題の中心テーマとして熱心に研究されてきた.RNAワールド仮説は生命起原の研究において最も重要な仮説として認められている.
  しかしRNAワールド仮説には問題点がある.ここでは主に2つの問題に絞って議論する.第1は,生命は熱水中で誕生したとする熱水起原説との関係である.私達のグループでは1995年からRNAワールド仮説を「熱水起原説」の視点から実験研究に基づいて検証してきた[5,6].熱水起原説からRNAワールド仮説を批判あるいは検証する立場は,我々が指摘するよりも以前から存在したが[7-9],実験的な検証を系統的に行ってきたグループは私たち以外に見あたらない.そこで本総説では,熱水起原からRNAワールド仮説を検証した研究成果をまとめ,RNAワールド仮説を生命の熱水起原という観点から改めて考察する.
  第2の問題として,「RNAワールドとは具体的にはどのようなシステムか?」,あるいは「生命体と呼べるシステムがRNAで本当に構築できたのか?」,という問題がある.そもそも,RNAワールド自体が生命体なのかそれともRNAワールドは生命体の集合体なのか,RNAワールドの具体像の解析や,RNAワールドが生命かどうかという議論は不十分である.RNAワールドがどのような生命体なのかを推測するためには,生命とは何かという概念が確立されなければならない.しかしながら生命とは何かについては様々な意見があり議論もかみ合わないようである[11].その問題点の1つは,生命の定義はダーウィン進化論と分子生物学の成果に強くとらわれていることだと私は考えている.そこで私は,2000年頃から化学進化・生命起原・生物進化・文明の発展を統一的にとらえるために,生命システムの発展機構に関する理論を構築してきた[12-14].その背景には生命を環境との関係でとらえるという思想がある.本稿ではこれらの研究成果に基づいてRNAワールドの具体像を推定する.

2. RNAワールド仮説を熱水起原説から検証する

2.1. 遺伝情報の起原にまつわる問題
  ところで,何をどこまで明らかにすれば生命の起原が分かったと言えるだろうか.例えば,原始生命を作ることができれば生命起原の解明にかなり近づくだろう.また,生命とは何かを明らかにしその普遍的な分子機構を明らかにすることも重要なアプローチである.20世紀の分子生物学は生命の分子機構の解明を飛躍的に進め,原始生命を創作し生命出現の分子機構を明らかにするための土台ができつつある.その成果を踏まえてRNAワールド仮説は提案された.
  RNAワールド仮説の登場までに,遺伝情報がどのように生体内で伝達され生命活動が維持されているのかはおおむね明らかになっていた.生物の遺伝情報はDNAに書き込まれており生体分子はその情報に基づいて作られる.その情報の流れをFig. 1(上)に模式的に表す.タンパク質のアミノ酸配列はDNAの塩基配列と対応しておりタンパク質ペプチド鎖はリボソ−ム上で合成される.一方で,DNAの複製など含めたあらゆる生体内反応はタンパク質酵素によって制御されていると考えられていた.言い換えると,生物においてはその遺伝情報は細胞内の装置一式によって表現型に対応づけられていることが分子生物学の成果として明らかになった.このような複雑な仕組みがどのように原始地球上で形成されたのかは大きな謎であり,これを明らかにすることは生命起原の研究の核心の1つである.ここでDNAとタンパク質との関係は,タマゴとニワトリのどちらが先にあったのかという問題にたとえられる.この問題はRNAワールド仮説が定着した現在も大きな課題である.
  このような中,1981年にCechらによってRNA酵素(リボザイム)が発見され[15,16],酵素となりうる分子はタンパク質だけでなくRNAでも可能だということが分かった.上に述べた遺伝情報の流れにおいて,DNAが持つ遺伝情報はタンパク質のアミノ酸配列と直結しているわけではなく,実際にはDNAの塩基配列が一端mRNAに転写され,さらにtRNAを用いて翻訳されてリボソーム上でペプチドは合成される.すなわち遺伝情報伝達の流れにおいて,RNAはDNAとタンパク質との間で遺伝情報を担う働きを持っている.このような背景のもとにリボザイムが発見され,初期の生命体では遺伝情報とタンパク質機能との役割をRNAが果たしていたとする考え方(RNAワールド)が登場した(Fig. 1(下))[1-3].この考え方を遺伝情報と表現型との関係でとらえると,RNAワールドでは遺伝子型と表現型を同一分子が担うという,最も単純な遺伝子型と表現型の対応付けの仕組みが成立したと考えられる[17,18].言い換えるとRNAの相補的塩基対の生成能に基づいて,最初の遺伝情報保持機能と酵素機能が成立したと考えられる.
2.2. RNAワールド仮説の登場
  RNAワールドは1986年にGilbertによって初めて提案された.しかし,1960年代にはOrgelとCrickがRNAワールドを予見していたらしい[19].また,Eigenによる遺伝情報の起原に関するハイパーサイクル説は,実質的にはRNAワールドの研究である[20,21].すなわちRNAワールドという概念は,RNAに関する知識から生じるごく自然な考え方と見なすことができる.また,RNAにはtRNAやrRNAなどの多様性があり,RNA原料であるATPは生命にとって共通のエネルギー物質であるなど,RNAや関連する物質は生体内で様々な重要な役割を担っている.これらの化学的あるいは生化学的事実からRNAワールド仮説は受け入れやすい.私がRNAワールドの研究に入ったのはRNAワールド仮説の登場よりも後であったが,化学進化の勉強を独学していく中でRNAの酵素機能を最初に知ったときには意外な感じはしなかった.RNAワールド仮説については,もし自分がこの周辺の化学進化を研究していてリボザイムの発見を聞いたとするならば, RNAワールドという考えは瞬時にひらめいたであろうという印象を持ったことを覚えている.
2.3. RNAワールド仮説の論証
  RNAワールド仮説の登場は,生命起原の問題の大部分が解決されてしまったかのような強烈な印象を,多くの研究者に与えたと思う.その結果RNAワールド仮説についてFig. 1下に示すような共通概念が研究者コミュニティー間で形成されていると思われる.しかし一方で,「RNAワールドとは何か?」などの仮説の根本に関わる検証は不十分である.例えば科学者が仮説を検証する際には,その仮説を信じるかどうかとは距離をおいて,着実なデータに基づいて議論すべきである.RNAワールド仮説を信じて実験データをとれば,研究者は図らずとも実験結果の方向付けしている可能性があることを知らねばならない.もちろん,批判する立場においても実験データの取り方において公平であるべきである.このような前提のもとに,RNAワールド仮説を検証するための実験データを得ることに我々は取り組んできた.

3. RNAワールド仮説を支持する根拠

  RNAワールド仮説を検証するアプローチ法として,他の対比できる仮説と比較しつつ検証するという方法があり得るだろう.その1つとしてタンパク質がRNAよりも先に出現したとする考え方がある.しかしながら,RNAワールド仮説の場合にはFig. 1(下)に象徴されるような研究者コミュニティーが共有する概念が形成されているのに対して,タンパク質が先という考え方には共通概念が形成されていないように思われる.すなわち現時点では,タンパク質が先という考えについては特定の仮説に絞って比較検証することは難しい. すなわちRNAワールド仮説自身がどのような問題点を持っているかを検証することが先決である.RNAワールド仮説を支持するその他の根拠として,ここでは,①化学進化実験による証拠,②試験管内分子進化についてまとめる.




Figure 1. Biological information flow for the present organisms and RNA based life-like systems. Top: Present organisms, bottom: RNA world.

3.1. 化学進化実験による証拠
  RNAは核酸塩基,リボース,リン酸エステルからなる.これらの各要素,およびそれらが結合したヌクレオシドとヌクレオチドの生成過程,およびヌクレオチドモノマーからRNAの非生物的生成過程が調べられ,RNAは原始地球環境で生成し得ることが示された(Fig. 2).核酸塩基は模擬原始地球大気や模擬原始海洋で生成し[22-27],リボースはホルモース反応によって生成する[28,29].さらに,ヌクレオシド[30,31],およびヌクレオチドが生成し得る経路も見つかっている[32,33].これらの過程で生じるRNAモノマーの生成効率は高くはない.従って,見方を変えるとこれらの実験結果はRNAが如何に生成し難いかということを示す証拠であるようにも思われる.またRNAの生成過程においてなぜD-リボースが用いられたのかというキラリティーの謎はいまだに明らかではない.
  RNAポリマーの生成は,生体内ではヌクレオチド5’-トリリン酸を原料とし,鋳型DNA上でRNAポリメラーゼによって進む.一方,模擬原始環境では,ATPなどのヌクレオチド5’-トリリン酸(NTP)を反応させてもRNAポリマーは生成しない[34].そこでトリリン酸基の代わりにモノリン酸基をイミダゾールで修飾したリン酸イミダゾリドが活性化したヌクレオチドモノマーとして模擬実験で使われてきた.また,リン酸イミダゾリドは模擬原始地球環境で生成し得ることが示されている[35,36].ここで活性化ヌクレオチドモノマーを用いると様々な触媒によってオリゴヌクレオチドが非生物的に生成する(Fig. 3).RNAの自発的な生成過程として,澤井らは金属イオン触媒によってRNAが生成することを見いだした(MC反応)[37-39].また,Ferrisらは粘土鉱物を触媒としてRNAが生成することを発見した(CL反応)[40,41].さらにモノマーを供給し続ければ比較的簡単に50鎖長のRNAが生成することが分かった[42,43].これらは鋳型ポリヌクレオチドも酵素もなしに進行する.歴史的には前後するが,RNAの複製モデルとして,Orgelらはグアノシン5’-モノリン酸イミダゾリドをモノマーとしてポリシチジル酸鋳型存在下で40鎖長のオリゴグアニル酸が生成することを示した(TD反応)[45].これは,Watson-Crick型塩基対を生成するだけで酵素がなくともRNAが生成することを示している.この反応ではモノマーをグアノシン5’-モノリン酸イミダゾリドとし鋳型をポリシチジル酸とする場合にもっとも効率が高く,ピリミジン塩基を含むモノマーとプリン塩基鋳型の組合せでは反応は進みにくい.ただし,シチジンを主成分とするポリヌクレオチド鋳型を用いれば,4種類の塩基を含んだ場合にも鋳型指示反応によって相補的RNAが生成し,酵素がなくとも原始的複製はある程度可能なことが示された[46-49].また,粘土鉱物を用いて自発的に生成したRNAから鋳型指示反応で相補的なRNAが生成することも確認された[50].
  以上の結果,RNAの化学進化における各ステップが実際にはどの程度有効に進んだかという確率は不明であるものの,RNAは現在の地球あるいは原始地球に近い環境下で生成しかつ複製した可能性があることが確認された.




Figure 2. Possible prebiotic formation pathways of an activated nucleotide monomer.





Figure 3. RNA polymerase models without and with a template polynucleotide. Top: metal ion catalyzed RNA formation, center: clay catalyzed RNA formation, bottom: template-directed RNA formation.

3.2. 試験管内進化法による支持
  RNAの試験管内進化法に基づいて様々なRNAを創成する方法論が1990年にTuerkとSzostakらのグループよって同時にかつ独立して発表された[51,52].この方法は,ランダムRNAの調製→特定の機能を持つRNAの選別→選別されたRNAの増幅という過程からなる.この流れを簡略化してFig. 4に示す.ランダムRNAはDNA合成装置によって生成するランダムDNAから調製する.次に,例えば特定のタンパク質に結合するアプタマーを選別する場合には,そのタンパク質をアフィニティーカラムに充填しそれに対するRNAの親和力を利用して選別する.得られたRNAの増幅には逆転写PCR法を用いる.これを繰り返すと最終的に目標の性質をもつRNAアプタマーが得られる.この方法の成功によってランダムに生成するRNAの中には多様なRNAが潜在的に含まれていることが実証された[53-61].また本法は医学・薬学的な観点でも重要であるため膨大な研究が短期間に行われた.ここで,各プロセスからなるサイクルは生物進化の増幅-変異-自然淘汰と相似している.従って,RNAワールドにおいてはFig. 1に示すようにDNAとタンパク質の機能をRNAが担ったと考えられる.この方法を構成する,①ランダムRNAの生成に使うDNA合成装置,②増幅過程に用いる逆転写PCR,③選別に用いるアフィニティーカラムは,全て人工的な仕掛けであるが,もしこれらの過程が原始地球上で生成する素材をもとに構成できれば多様な生体機能がRNAによって生み出されたのではないかというシナリオが描かれる.以上のことからこの方法による一連の成果はRNAワールド仮説を支持する強力な根拠となっている.




Figure 4. The principle of in vitro selection of functional RNA molecules.

4. RNAワールド仮説の弱点(その1):熱水起原説からの検証
  熱水起原説は好熱性細菌の発見と研究から生まれた[62-65].また,好熱性細菌の系統樹の解析結果は,生物の最後の共通の祖先(LCA)は超好熱性生物であることを示唆している[66-68].もちろんこの主張に反対する意見もある[7-9,69].一方で,深海底の熱水噴出孔などの熱水環境を模擬する実験ではアミノ酸からペプチドやタンパク質状物質が生成する事実も熱水起源の根拠とされている[70-74].従って熱水起原説は生命起原の仮説として重要であることは間違いない.ところが,RNAワールド仮説と生命の熱水起原説は相矛盾するように見える[6,75].例えば,RNA自身は熱水中で不安定であると考えられていただけでなく,高温下で遺伝情報保持機能や酵素機能を持つかどうかは不明であった.そこで,熱水起原という視点でRNAワールドを評価し,この矛盾が科学的に妥当かどうかを明らかにしたいと考えてきた.RNAワールド仮説と熱水起原の間の矛盾点は,①RNAの熱安定性は充分か,②RNAは熱水中で生成するか,③RNAは熱水中で多様な機能を持ち得るかどうか,という疑問に集約されるがこれらを定量的に議論することが不可欠である.
4.1. RNAの熱安定性
  我々がRNAの熱安定性の研究を始めた頃,文献や学会発表ではRNAは熱に弱くとうていRNAワールドなど高温下では不可能だという意見が主流であった[7-9].しかしRNAの熱安定性を測定しようとした実験は少なかった [5,9,76].従って我々は安定性を正確に測定するところから始めた.このために熱水中での高速反応を追跡する方法論を開発し[77-79],これを用いてRNAの熱安定性を実測した[80,81].以下に,RNAの熱安定性の実験データについて得た成果を簡単にまとめる.例えばオリゴヌクレオチドのリン酸ジエステル結合の半減期は200℃では数秒から数10秒間である(Fig. 5).また,ヌクレオチドのリン酸エステルもほぼ同レベルの安定性を持ち,N-グリコシド結合と塩基の安定性はもう少し高い.一方,アミノ酸は高温下ではラセミ化する[82].この速度はアデノシン5’-三リン酸(ATP)のリン酸エステル結合の解裂速度と比べておよそ10000倍遅く,言い換えると,RNAモノマーはアミノ酸と比べて10000倍不安定である.一方,アラニンオリゴペプチドとRNAオリゴマーの安定性[73]を比べると,リン酸ジエステル結合はペプチド結合より100倍以上ペプチドより不安定である.これらの事実は,熱水起源説を前提にするならばRNAワールド仮説を否定する根拠になりそうである.しかし4.4に後述する通り,RNAとペプチド鎖の安定性をもってRNAワールドを否定するという議論には誤りがある.




Figure 5. Stability of RNA molecules and related molecules under hydrothermal conditions. The half-life for different biomolecules.

4.2. 熱水中でのRNA生成の可能性
  RNAワールドの根拠であるRNAの原始ポリメラーゼモデル(MC反応,CL反応,TD反応)は,ほとんどが0〜25℃でしか研究されて来なかった[37-50,83].熱水起原との関係を議論するためには,これらの反応の高温域までの温度依存性を調べ,熱水中でのRNA生成の可能性を議論しなければならない.そこで我々は,これらの原始ポリメラーゼモデル[74-86]と,さらにオリゴヌクレオチドの縮合剤による環化反応(CY反応)[87]について,0〜100℃で温度依存性を調べ速度論的に解析した.
  MC反応,CL反応,およびTD反応の全てにおいてオリゴヌクレオチドの生成量は温度上昇とともに減少する.一方CY反応では反応速度は増加したが効率は余り変わらない.上記3種類の反応では活性化ヌクレオチドモノマーを原料とするが,オリゴヌクレオチドの生成と同時に,活性化ヌクレオチドの加水分解,生成したオリゴヌクレオチドの加水分解などの副反応が起こる.例としてCL反応系の全経路を示す(Fig. 6)[86].
一般的に,温度上昇にともなってオリゴヌクレオチド生成速度は増加するが,競争反応である加水分解速度も増加する.従ってもし温度が変わってもこれらの速度の相対的関係が変わらなければ温度に依らずに反応曲線は相似形を描く.実際には,ヌクレオチド2量体の生成速度が相対的に小さくなることがオリゴヌクレオチドの生成量が高温下で低くなる主な原因であることが分かった[6,84-86].すなわち3量体以上ではポリマーへの伸長速度は生成したポリマーの分解速度や活性化ヌクレオチドモノマーの分解速度よりも相対的に大きく,およそ300℃でもRNAは生成し得ることが示された.
  高温下で2量体RNAが生成しにくい理由は以下の機構で説明される.RNA生成反応では活性化ヌクレオチドと伸長しつつあるオリゴマー(あるいはモノマー)が,リン酸ジエステル結合生成に先立って会合しなければならない(Fig. 7).従って,上記のMC反応における金属イオン触媒,CL反応における粘土触媒,およびTD反応における鋳型ポリヌクレオチドは,ヌクレオチドモノマーとオリゴマーとの会合を促進する効果を持つものと考えられる.実際,触媒や鋳型ポリヌクレオチドがない場合にはオリゴヌクレオチドはほとんど生成しない[41].上述した2量体の生成では2分子のモノマーが会合し,3量体の生成では2量体とモノマーが会合する.従って,2量体生成においては疎水性相互作用やπ−πスタッキングが3量体生成の場合に比べて弱く,会合体の生成が温度上昇によってさらに弱まり相対的に2量体の生成速度が小さくなる.従って,CY反応は分子内反応であるため会合体の生成がリン酸ジエステル結合の生成に与える影響が小さいため,高温下でも反応率が低下しなかったと考えられる.また,TD反応においてプリン塩基からなるポリヌクレオチド鋳型上ではピリミジン塩基からなる活性化ヌクレオチドモノマーはほとんど重合しないことや,活性化ヌクレオチドモノマーの代わりにオリゴマーを用いると効率が上がることなどの結果は上記のメカニズムを支持している.
  これらのメカニズムからは高温下でRNAが生成する可能性として以下のような反応が期待される.すなわち2量体の生成を効率よくする,すなわちモノマー同士あるいはモノマーとオリゴマーとの会合を促進する補助剤があれば,上記のポリメラーゼモデルはもっと効率よく進むはずである.実際,生体内ではプライマーと酵素によって伸長するRNAとモノマーの会合を促進していると見なすことができる.この仮説を検証するため,我々は様々な原始タンパク質モデルについてTD反応に対する促進効果を探索したが,現在までに顕著な促進効果は見つかっていない[88].




Figure 6. Pathways of RNA oligomer formation from the activated nucleotide on the clay catalyst under hydrothermal conditions.





Figure 7. Reaction mechanism of the formation of a nucleotide trimer from a nucleotide dimer and an activated nucleotide monomer.

4.3. 高温下でのRNAの分子内・分子間相互作用
  RNAの情報保持機能は2重らせんRNAの生成が化学的な基盤である.また,リボザイムの機能は多様な3次構造をRNAが生成し得ることに基づいている.この種の生化学的に重要な構造が形成されるかどうかは,静電相互作用,疎水性相互作用,水素結合,ファンデルワールス力,および軌道相互作用などが関わっている.このうちの疎水性相互作用は水特有の相互作用であり,水素結合や静電相互作用は溶媒が水分子であることの影響を強く受ける.これらの相互作用が温度とともにどのように変化するかについて,生体分子を用いて観察する研究は行われていなかった.そこで,我々のグループで開発したin situ高温高速紫外可視吸光光度法を用いて,その種の相互作用の解析を試みた[89-91].この装置を用いると,0.08〜3.2秒間の加熱が可能なので熱安定性が低い物質でも吸収スペクトルが得られる.会合挙動から疎水性相互作用やπ-πスタッキングなどの相互作用は温度上昇とともに弱まることが確認された.これらの結果からは,RNAワールドが熱水中で起るためにはRNAの3次構造を安定化する仕組みが化学進化の過程で必要だったと考えられる.例えば,静電相互作用の増大や膜やタンパク状物質が作る反応場が,オリゴヌクレオチドの生成を増進する仕組みとして有効だったと想像される.
4.4. 安定性の意味と熱水中でのRNAワールドの可能性
  ここに示したとおりRNAの安定性の測定値は得られたが,RNAワールドあるいは熱水起原の観点から見てこれらの値をどのように評価すべきであろうか.例えばRNAは不安定であるという根拠として,地質学的スケールやアミノ酸・タンパク質の安定性と比較することは有効ではないと考える.上述したとおりアミノ酸はRNAモノマーより約10000倍安定だが,長時間熱水にさらせばアミノ酸でも結局分解し消滅する.また,生体内で起こっている反応は通常は地質学的スケールとは桁違いに速く,地質学的スケールで安定でない分子も生体内で様々な役割を果たしている.すなわちこの評価を進める上で問題なのは,RNAの安定・不安定を判断する基準がなかったことである.この基準を考える土台として,生命はエネルギーと物質が流出入する開放系であることを念頭におかねばならない.実際,現在の生体中ではRNAは絶えず生成と分解を繰り返しており,RNAの量は生成と分解の速度を調節することで制御されている.そこで私は,化学進化における生体分子の蓄積のメカニズムにおいて2つの基準を提案した [6,75].この関係を模式的にFig. 8に表す.第1の基準は生成速度と分解速度を相対的に評価することであり,第2の基準は対象とする反応について酵素反応と酵素によらない反応の速度を相対的に評価することである.
  第1の基準に従うと,RNAの生成速度が分解速度よりも相対的に大きければ熱水中でもRNAは蓄積する.従って,タンパク質がRNAよりも熱安定であることを根拠としてタンパク質が先に出現したとするのは,この点でナンセンスである.実際,我々が測定した非生物的RNA生成モデル反応では3量体以上のRNAでは生成速度は分解速度よりもかなり大きかった.一方第2の基準は,化学進化を考える際にも原始酵素の寄与を考えなければならないという視点から提案した.その第1ステップとして原始酵素とは何かを明らかにすることが不可欠である.現在の酵素はタンパク質あるいはRNAからなるが,どちらもDNAに書き込まれた情報に従って合成される.これを拡張・一般化すると「酵素はその構造情報が生体内に遺伝情報として保持されている生体触媒」という概念となり,原始酵素に対してもこれが適用されるべきである[92].RNAワールド仮説と熱水起原の両方の観点から原始酵素の起源を考察するならば,高温下でリボザイムの遺伝情報が保持され得たかどうかを検証しなければならない.結論として第2の基準からは,高温下でも原始酵素は作用する可能性があると推定された.しかし,我々が得た熱水中でのRNAの分子内あるいは分子間に働く相互作用に関する実験データは単独のRNAは熱水中では3次構造を保持することはできないことを示している.従って熱水環境ではリボザイムは他の物質の助けがなければその活性を発揮し得なかったと推定される.このような補助物質の存在下でRNAの生成反応と分解反応が制御されたかどうかを検証すべきである.
  私が提案した基準の重要性はまだ認知されていない.しかし生命は,熱力学的には平衡から遠く離れた状態にある散逸構造の一種であるので,その評価には速度論的な基準は不可欠である.
  本章のまとめとして,RNA化学進化を評価する基礎データの収集に成功し以下のことが明らかになった.
1. RNAは高温下では速やかに分解するが,ペプチドと比較するとおよそ100倍以上不安定である.
2. RNAの原始ポリメラーゼモデルの解析の結果,RNAは3量体以上であれば,高温下でも生成し得ることが予想された.
3. 核酸の分子内および分子間力は,高温下では弱くなり,裸の核酸ではWatson-Crick型の水素結合は100℃以上では概ね切断される.また,高温下では核酸の溶解度は低下する.





Figure 8. The importance of the formation and degradation of RNA and the enzymatic and non-enzymatic reactions for the accumulation of RNA.

  これらの結果はRNAの生成は高温下でも可能であることを示唆している.次のステップとして熱水中でRNAが蓄積するかどうかを確かめる実験が必要である.一方,進化するモデルとしての試験管内分子進化法では,方法を化学的に支える疎水性相互作用や水素結合は高温下ではあまり働かないという弱点がある.ただし,好熱性細菌の体内ではDNAもRNAも高温下で活動しているはずである.また,現在見つかっている生物よりも高い温度で生育する生物が発見される可能性もある.すなわち化学的環境が整えば,RNAやDNAは高温下でも生化学的な機能を維持し得る.それらの体内ではタンパク質などの助けによって,生命維持と進化機構が構成されている.すなわち原始RNAの生成や熱安定化は,なんらかの補助的物質の存在下で促進されたかも知れない.そのような補助剤として鉱物,金属イオンなどの無機物やランダムアミノ酸から生成するタンパク質状物質やその他の有機物などの様々な物質が考えられる.ただし,もしその種の補助剤がランダムアミノ酸から生成するタンパク質状物質であった場合には,それらを現在のタンパク質と同等に位置づけてはいけない.上述した通り,酵素はその構造情報が生体内に保存された分子であるが,これはタンパク質全体にあてはまる.しかし原始環境でランダムに生成するペプチド鎖の情報はどこにも保持されていないので,これらが触媒作用を持ったとしても酵素ではない.これらの事実を踏まえ高温下でRNAが生成したかどうかを検証するために,原始的素材で構成されしかも熱水中で働く生命的システムを構成することが強く期待される.

5. RNAワールド仮説の弱点(その2):生命とは何かという視点からの検証

5.1. RNAワールドの具体的な姿とはどのようなものか
RNAからなる生命的システムでは,遺伝子型と表現型を同一分子が担うという対応付けの仕組みによって,最も単純な遺伝情報と酵素機能の関係が成立したと考えられる.すなわちRNAワールド仮説によってタマゴとニワトリの問題は解決できる.次のステップとして,どのようにしてそのようなRNAシステムが発展し現在のシステムに至ったかを明らかにしなければならない.一方で,RNAワールドがどのようなものであったかについて様々な疑問が浮かぶ.RNAワールドは核酸を主要成分とする分子集団であり,遺伝情報保持機能とリボザイム機能の両方を担ったとするが,具体的にはどのようなシステムであったのだろうか.上述したとおり,RNAワールド自体が生命体なのかそれともRNAワールドは生命体の集合体なのかも不明である.さらに,細胞はあったのだろうか,いつ誕生しどのぐらいの期間存在したのか,どのような環境で存在したのか,他の物質はどのようなものが使われていたのか,などの疑問がある.ところがRNAワールドが具体的にどのようなシステムかという議論は不十分である[11,93-100]. RNAが生命体と認められるかどうかという観点から見ると不十分だったのではないかという議論はこれまでの論文において述べた[12,13,105].ここではRNAワールドの生命システムとしての要件を整理し,もしRNAワールドが生命体として可能であったならばどのようなものであったかというイメージを描く.
第1に,現在の生命システムの特徴をRNAワールドはどの程度満たしているのかを考察する.生命システムの特徴は代謝・複製・変異することである[12,13,101].さらに,遺伝型分子と表現型分子との対応付けの仕組みの違いによって生命的システムを分類し,遺伝子型と表現型の対応付けの仕組みが生命の出現や進化にとって重要であることが示された[12-14,17,18].RNAワールドはこれらの性質を満足する最も単純なシステムに対応する.実際,複製と変異はRNA分子によって可能であると考えられる.また,遺伝子型と表現型は同一分子である.さらに,化学進化で生成した原始スープにとけている原料を利用するRNAの生成・分解や自己複製が基本的な代謝反応として考えられるだろう.しかし,あるシステムが生命として成り立つための他の要件も見逃せない.第1は,生命は1つのかたまりとして安定かつ継続的に維持されるという性質である[14,102].ここではこの性質を一体性と呼び,生命システムの安定性を保つ仕組みとしての一体性という視点で考察する.現在の生物は細胞を基盤とするが,細胞は生命活動を担う物質一式を袋の中に閉じこめている.その袋に穴が開いて中身が漏れると致命的である.多細胞生物においてもこの点では基本的に共通している.一方,ウイルスやウイロイドは細胞型生物ではないが部分的に細胞型生命と共通の特徴を持っており,ひとかたまりになっている点でも生物と共通点がある[12-14,17,18].このように1つのかたまりになっている点は生命の特徴であり[102],システムの安定性を保持している.従って,地球型生命の起原としてRNAワールドを考えるならば,このような一体性を想定しなければならないだろう.
以下に一体性を保持する2種類のカテゴリーを提案する.これらは上述のように細胞型とウイルス型に基づくが,仕組みの違いを一般化するために小胞型(細胞型)と粒子型(ウイルス型)と呼ぶ(Fig. 9).小胞型生命と粒子型生命の差を構造的に表現するならば,小胞型は内部空間を持つのに対して粒子型は内部空間を持たない.

A. 粒子型RNA生命
粒子型RNA生命においては,分子やその複合体粒子そのものが生命でありMolecular organismとも呼べるだろう.中心的役割を果たす部分がRNAであれば,RNAワールドを構成する生命として見なすことができる.最も単純な場合はRNA分子1つからなり,それが本当に生命としての性質を持っているならばそれは最も単純な生命体である[12-14,18].RNA生命が1分子だったならばそれは複数の機能を備えた大型分子であったかも知れない.また,RNA分子が鉱物断片や鉱物細孔内に吸着した複合体などは粒子型生命の拡張型である(Fig. 9 B).鉱物の殻をまとえばより複雑な分子の組合せを一体化できそうである.この種の複合体は粒子型と小胞型の中間に位置し,RNA化学進化に対する鉱物の役割という観点でも原始生命の形態として興味深い.
粒子型生命体があったならば,その1分子を見つければ生命の起原が分かったことになるので生命の起原学者にとっては好ましい.

B. 小胞型生命
小胞型RNA生命は,RNAを中心とする分子集団が細胞に納められているタイプである(Fig. 9 C).この生命体の構造は細胞型生物からDNAやタンパク質の機能をRNAに置き換えたものに近いだろう.ただし,その小胞が分裂し増殖するという高度の機能があるかどうかは必要条件ではない.代謝の観点からは,粒子型の場合と異なり小胞型では不要になった分子が原料に再生される,又は排出される機構が必要である.
一方,現在の生物の細胞膜の主成分はリン脂質であるが,タンパク質もかなり含まれている.膜中タンパク質の量は原始的生物ほど多い傾向があることが知られている.この脂質などを取り除いて内部空間を小さくしていくと,タンパク質とRNAの固まりのような粒子になる.このように考えると,粒子型と小胞型は構造的には連続的なものとみなすこともできる.

5.2. 個体と種との関係
現在の生命では個体に対する種や生態系などの上位の階層が存在する.また一般的に増殖可能な個体はコピーが生成するのでその集団は上位階層となる.従ってRNAワールドを考察する上でも階層構造を考えなければならないだろう[103].RNA生命体は複製・変異によって集団を形成する.この集団はEigenが主張した擬似種のようなものだったと考えられる[104].EigenはRNA分子の集団が情報を継続的に保持する遺伝情報保持機構を提案し,「生物個体の交配可能な集団を種と呼ぶ」ことに照らして,この集団を擬似種と命名した.RNAからなる粒子型生命が連携している状態を模式的にFig. 9に示す.
上位階層である擬似種を生命体として見るのは現実的ではないと思われる.なぜならRNA分子が集団として情報を持つ場合には,例えば流されてしまうなどの単純な原因で情報はすぐ失われてしまうので,生命としてはとても脆弱である.この点は,その他の粒子型生命にもあてはまる.すなわち粒子型生命の集団を生命体と見るかどうかはそれが一体化されているかどうかに依存する.また,粒子型生命を現在の生命と結びつけるためには,粒子型生命の集団がある期間互いに共存し得るためにそれらを容れ物に閉じこめるというステップが必要だったと推定される. 一方で,小胞型生命の場合には現在の細胞型と同様に,小胞間が作る上位の階層としての種が想像されるかも知れない.小胞体型生命では現在の生物のような種を想定するためには,個体である小胞体生命が,増殖しなければならない.このためにはかなり高度な機能を内部の分子集団に求めなければならない.しかし,例えば,小胞内のRNA粒子型生命を個体とみなせば,小胞全体を種あるいは上位の階層とみなすことができる.このような小胞体の内部なら擬似種は安定的に存在できる.また,内部の分子同士が交換しあうなどの方法で小胞間の相互作用があれば,集団全体を上位階層と見なすことができる.




Figure 9. Realistic RNA based life-like systems. A: RNA molecules as living systems and the ambiguous system composed from the RNA molecules. B: Complexes of RNA molecules with other substances as a unit of life-like system. top: RNA with protein-like molecules, center: RNA on the mineral surface, bottom: RNA in the mineral nano-structures. C: Cell type RNA based life-like system.

5.3. RNA生命体の生命維持
これらの単純な生命的システムは,個体やその集団が代謝・複製・進化を起こす機構を保持し,さらに自律的に環境変化に対応する能力を持っていなければならない.一方で,それらの生命が維持される場が必要である.生育環境という点で粒子型RNA生命をウイルスと比較すると,次のような知見が得られる.例えば,実際のウイルスの場合では,宿主がない限り増殖はおこさない(Fig. 10 A).RNA分子はウイルスよりも単純なので,粒子型RNA生命が存在したならば宿主は不可欠だったと推定される.この宿主とはいわゆる原始スープではないだろうか(Fig. 10 B).
結論として,粒子型RNA生命から構成されるRNAワールドとは,原始スープを宿主とし,1粒子からなる自己完結型の粒子生命体から構成される集団が想像される.一方で,小胞型RNA生命は小胞が個体である.小胞内には複数のRNA分子が存在しこれを小胞内のRNAワールドと見なすこともできるかも知れない. 5.4. 個体と環境との関係
一体性および代謝・複製・変異は生命としての必要条件である.付け加えて,システムが生命らしさを持つためには,そのシステムが環境に主体的に働きかけ環境変化に対応する性質が不可欠である.この性質を主体性と呼びその重要性を私は主張した[12,105].現在の生命は環境に対する主体性を持っているので,環境の変化に対して柔軟に対応できるし進化も起こる.同時に,進化の仕組みを持っていることが環境への対応能力を高めていると言うこともできる.このような性質をRNAシステムが持つためには,分子構造として何が必要かを知ることが次の課題である.これは実際に粒子型あるいは小胞型の原始生命を製作し,外部刺激に対する応答や耐久性を調べるという化学進化の次のステップに踏み込んだ実験が必要である.




Figure 10. An infected cell with viruses (A) and an infected prebiotic soup with RNA based life-like systems (B).

5.5. 次の段階への進化
生命体が進化を経て継続するという観点で見ると,これらの原始生命体が次の段階に発展するかどうかという問題がある.RNAワールドが次のステップへと進化可能だとすると,生物の完成形である細胞型生命に向かうシナリオを描かなければならない.この場合に上述した2種類のRNAワールドの体制のどちらが現在のシステムに移行しやすかったであろうか.粒子型RNA生命の場合には,RNA型の遺伝型と表現型の対応付けからウイルス型へと移行可能であることが示された[17].しかしその先には,細胞膜の構成要素である脂質を生産するか集める能力を獲得しなければならないだろう.一方で小胞型RNA生命ではどのようにして境界を手に入れたかという疑問が残る.ただし,細胞の中の体制が変わるだけで移行できる点で有利である.

6. 今後の生命の起原研究への期待

本稿によって,RNAワールドの具体像がある程度明らかになった.特に5章の議論においてRNAワールドを生命体と見なすことができるかどうかという視点を持ち込むことによって,原始RNA生命は粒子型と小胞型に分類され,それに対応して今後どのような方向で研究をすればよいのか方針を導くことに成功した. RNA生命の最も単純な形態はRNA1分子からなる生命体である.粒子型の変形として,タンパク質と結合した生命,鉱物断片に吸着した生命,鉱物細孔に取り込まれた生命などが想像される.これらは実験によって検証し得る具体的な化学モデルなので,これらの構造や機能を明らかにし,その培養液となった原始スープを示すというアプローチが期待される. さらに熱水起原説の視点からも,これらのシステムが熱水中で生きるかどうかを検証しなければならない.熱水起原を満足するためには,RNAは単独ではなく他の物質と結合した粒子型生命や,高温でも壊れない小胞型生命が候補となるだろう
. さらに,RNAワールド仮説にはその他にも問題がある.例えば,RNAワールド仮説の根拠である試験管内進化法は分子生物学的素材を使わなければならないことや,キラリティーの問題などである.これらの検証も今後進めていかなければならない.
最後になるが,RNAワールド仮説の好きな先生たちは,熱水起原説は好きではないようである.たとえば,国際会議のときに「RNAワールド仮説が好きな人は熱水起原説があまり好きではない」というフレーズを入れると笑いが起こるので,私以外にもそのような印象を持っている研究者がいるようである.またRNAワールド仮説やそれを検証する基本的研究のほとんどは欧米の権威ある超一流科学者によって成し遂げられた.これらのことがRNAワールド仮説は侵すべからずと言う雰囲気をつくるのでは,サイエンスとして好ましくない.むしろRNAワールド仮説を乗り越えて様々な生命起源の研究を生み出すことが望まれる.

謝辞

本研究の一部は科学研究費補助金(20540476および21200004)によって行われた.深甚の謝意を表します.

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