EXTRATERRESTRIAL ORGANIC MATTER AND ORIGIN OF LIFE: STARDUST MISSION ORGANICS PRELIMINARY EXAMINATION RESULTS AND COMPARISON WITH METEORITIC ORGANICS STUDIES

Hikaru Yabuta

Geophysical Laboratory, Carnegie Institution of Washington 5251 Broad Branch Rd., N.W. Washington DC, 20015 USA
*Present address: Department of Earth and Space Science, Osaka University
1-1 Machikaneyama, Toyonaka, Osaka, 560-0043 JAPAN

E-mail:y a b h i k a @h ot m a i l. c o m
h y a b u t a @e ss.sci.o sa ka-u . a c.j p
(Received February 29, 2008; Accepted May 23, 2008)

(Abstract)

     This review (in Japanese) highlights the results on the Stardust mission organics preliminary examination of the returned Comet 81P/Wild 2 particles, based on the Science article published in December 15, 2006. The recent developments of studies on organics in chondritic meteorites and/or interstellar dust particles using modern instruments are also described for seeking relations of organic characteristics among the three extraterrestrial samples. In addition, potential chemistry for which cometary and meteoritic organics were responsible as a source of exogenous delivery to the early Earth is discussed.

(Keywords)
Stardust mission, comet 81P/Wild 2, organic matter, scanning transmission X-ray microscopy (STXM), X-ray absorption near edge structure (XANES), micro-Raman spectroscopy, secondary ion mass spectroscopy (SIMS), origin of life, exogenous delivery, chondritic meteorites

地球外有機物と生命の起源: スターダストミッション有機物分析部門の初期結果と隕石有機物との比較

薮田ひかる
Carnegie Institution of Washington
5251 Broad Branch Rd., N.W. Washington DC, 20015 USA
E-mail: yabhika@hotmail.com
現所属:大阪大学大学院理学研究科宇宙地球科学専攻
〒560-0043 大阪府豊中市待兼山町1-1
E-mail: h y ab u t a @ e s s.s c i. os a k a - u. a c.j p

1. Introduction

1. はじめに
     地球外有機物は,塵とガスからなる分子雲から原始惑星系円盤,そして原始太陽系の誕生へと進化する過程で形成された物質であり,その一部は約46億年前に太陽系内で生じた小惑星や隕石,他の一部は太陽系外縁に放りこまれた彗星,あるいはこれらの小天体を起源に持つと考えられている惑星間塵の成分等として,保存されている(Fig. 1).有機物を構成する元素 ― 炭素(C),水素(H),酸素(O),窒素(N)の宇宙存在度の高さ [1] から,地球外有機物は惑星系の起源と進化に重要な役割を担った物質の一つであると考えられる.加えて,生命を構成する材料は,隕石や彗星と共に原始地球に大量に供給された地球外有機物であると指摘する科学者も多い(Exogenous delivery) [2, 3] .これらの点から,地球外有機物の組成や分布を明らかにすることが求められている.
     地球外有機物の研究は,1969年,Murchison隕石が我々の元に‘届けられた’のをきっかけに始まり,およそ40年の間に,Murchison隕石を代表とする多くの炭素質コンドライトに含まれる有機物の分析から,太陽系形成当時の物質の進化が明らかになりつつある.炭素質コンドライト中の有機物の研究がこの分野の基盤を築いてから,今日でも著しい発展を先導し続けている.そして時代は,宇宙から降ってくる新しい隕石試料を待つだけでなく,自分達で取りに行く段階へと発展してきた.
     太陽系で最も始原的な物質を調べようと,1999 年 2 月7日に打ち上げられた NASAの彗星探査機スターダストが,2004年1月2日に81P/Wild 2彗星の塵を採取することに成功した.そして,数千もの塵の入ったカプセルが2006年1月15日に地球へ無事帰還した.このミッションは世界初の彗星塵サンプルリターンとなった.その後,塵試料の様々な分析がおよそ180人の科学者の力で行われ,約1年にわたる初期分析だけでも,彗星塵の化学・物理的特徴について非常に多くのことが明らかとなった.初期分析の一環として有機分析も行われ,著者も関わる機会に恵まれたので,このスターダストミッション初期分析の成果の中から有機分析に関する結果について,炭素質コンドライトや惑星間塵中の有機物の諸特徴と照らし合わせながら,最新の地球外有機物研究の現状を紹介する.



Fig. 1. Positional relationship of Kuiper belt and Oort cloud. Inner solar system (Upper left), Outer solar system and Kuiper belt (Upper right), and Oort cloud (Bottom). The original image (Credit: R. Hart, Spitzer, CalTech, JPL, NASA, http://www.solstation.com/stars/sedna.htm) is modified.

2. 過去の彗星成分研究の歴史

     Whipple(1950, 1951)[4, 5] の「汚れた雪玉」説で知られるように,彗星の化学成分についての研究の歴史は長い.この仮説では,彗星は揮発性の氷成分と難揮発性の塵(岩石粒)が集塊を形成していると考えられていた.彗星中の氷は太陽熱により昇華し,それにより放出された内部のガスや塵は彗星核の周りにコマを形成する.このコマを,可視・電波・赤外・紫外・表面反射率などの諸分光観測法を使ってリモートセンシングすることにより氷中の揮発性成分を検出するというのがこれまでの主な研究法であった.今日までに20種を超える揮発性分子(イオン・ラジカルを含めると約40種)が報告されている(Table 1)[6, 7].

Table 1. Chemical abundances of molecules in cometary comae at 1AU (Relative abundance of H2O = 100) [7]. Reproduced by permission from Baihukan.




     一方で,Delsemme(1982)[8] は揮発性分子の観測結果に基づいて彗星中の元素組成を見積もった.ここでC/O比が著しく低い(~ 0.2)という不可解な点を見出した(COは1,CO2は0.5,有機分子の合計であれば一般にCがOを上回るはずである).Delsemmeは,この欠落したCは揮発性成分にあるのではなく,おそらく難揮発性成分として存在するために検出されなかったのではないかと推測した.
     その後,1986年,Vega1, 2およびGiotto探査機に搭載された飛行時間型質量分析計によって1P/Halley彗星中の塵成分が初めて実際に分析された [9-11] .それらの結果から,彗星塵は“Refractory organics(以下,難揮発性有機物)”とケイ酸塩の混合物であることが判明し,とりわけC, H, O, Nの軽元素が豊富であったことからそれは「CHON粒子」とも名付けられた.このCHON粒子の発見は,彗星成分モデルの再構築と将来の彗星探査の方向性を定めるための非常に重要な分岐点となった.
     後にGreenberg(1998)[12] により,彗星を構成する成分は,氷(~ 30%),ケイ酸塩(26%),難揮発性有機物(23%)の主要3成分に加え,多環式芳香族炭化水素(PAHs)などの中揮発性有機分子(9%)とメタノールなどの揮発性分子(2 - 3%)であると見積もられた.この結果を受けて提唱されたのが,かの代表的なGreenbergモデル [12, 13](Fig. 2)である.
     2005年7月4日にはディープ・インパクトミッションが実施され,9P/Tempel 1彗星に衝突体を打ち込み彗星内部の物質を調べることに成功した [14] .衝突体の打ち込み前には検出されず打ち込み後に検出された成分こそが彗星起源の指標となった [15] .揮発性分子の観測では打ち込み後にH2O, C2H6, HCN, CO, CH3OH, H2CO, C2H2, CH4が検出された.Tempel 1彗星はカイパーベルト(Fig. 1)を起源とする木星族の短周期彗星である.これまではオールトの雲(Fig. 1)を起源とする長周期彗星の観測研究が頻繁に行われてきたのに対し,短周期彗星に関する十分な知見は得られていなかった.しかしディープ・インパクトミッションによって,両タイプの彗星は共通の成分を類似の組成で含むことが初めて明らかにされ,長・短周期彗星ともに原始惑星系円盤の同じ場所で形成されたのではないかという新しい議論も打ち出された.
     上記のように,彗星中の揮発性分子の研究は発展を続け,彗星の成因の究明にまで貢献してくるようになった.その一方で,彗星中の難揮発性有機物の研究進展は,従来の観測法では技術的に限界があるために,滞ったままであった.難揮発性有機物は,一部の揮発性分子の生成や分布にも関与している可能性があり,様々な室内実験でその分子構造が推定されてもいる.彗星有機物の化学進化を理解するために,その主要な割合を占める難揮発性有機物を調べる必要性は高い.彗星塵中の難揮発性有機物の存在と化学特徴を「地上の最先端分析法を用いて解明すること」― これが,スターダストミッションにおいて,地球外有機物研究の立場から求める有機分析実施の意義であると考える.



Fig. 2. Greenberg-model of cometary dust [12]. Upper figure depicts a diffuse cloud silicate core-organic refractory mantle particle. It has to be nonspherical (here elongated) in order to provide for interstellar optical polarization. Lower figure depicts a fully accreted grain in the protosolar nebula. Reproduced by permission from Astronomy and Astrophysics editorial office.

3. スターダストミッション

3-1. 81P/Wild 2彗星
     81P/Wild 2彗星はTemple 1と同様,木星族の短周期彗星として知られる.それが木星の摂動により太陽系内縁の軌道に入ってきたのはつい33年前,1974年9月10日のことで [16] ,スターダスト探査機が向かうまでに太陽を周回したのはわずか5回である.したがってWild 2彗星は,太陽の影響をほとんど受けることなく約46億年前当時の成分を保存している彗星である.ちなみに1P/Halley彗星は100回以上も太陽を周回した結果,太陽熱による加熱をより受けた天体と考えられている.
     2004年1月,スターダスト探査機はWild 2彗星から234 kmの距離まで接近した.その観測画像から(Fig. 3),Wild 2彗星は5 kmサイズの偏球体で,その表面は凹部のある“クレーター”や周囲が急斜面で頂上が平らな地形をした“メサ”,峰や崖といった角のある地形をしていることが判明した [17] .クレーター表面の状態から,この地形はWild 2彗星が太陽系の内縁に入る前に形成されたと考えられた.また,従来考えられていた「汚れた雪玉」のイメージとは異なり,ガスと塵のジェットが天体の数十箇所から噴き出していた [17] .これと類似の現象が1P/Halleyや19P/Borrelly彗星などにも見られている [18, 19].

3-2. 彗星塵の採取
     スターダスト探査機は,できるだけ速度を落として6.1 km/sでフライバイする間にWild 2彗星塵を採取した[20].彗星塵にとっては6.1 km/sという高速で探査機と衝突することになり,それによる塵成分のダメージや変成を最小限に抑えるための捕獲技術が入念に考慮された結果,熱や衝撃,宇宙環境に対する耐性に優れ,空気並みに密度を下げたシリカエアロジェルが捕獲材に用いられることになった.大きさ2 x 4 cmのシリカエアロジェル・セルが,試料回収器(Fig. 4a)のテニスラケットのような形をしたアルミニウム格子枠の1マス1マスに組み込まれ(総面積1225 cm2),探査機上に広げることにより試料を採取した.試料採取後はこの回収器が折り畳まれ,帰還カプセル(Fig. 4b)の中に保管されて地球に帰還した.
     回収器に衝突した塵は,エアロジェルに高速貫入した跡(トラック)や,アルミニウム枠に衝突してできたクレーターに沿って,多数の粒子となって分かれていた.トラックには様々な形状や大きさのものが見られた(Fig. 5).これらの物理的性質は彗星塵のサイズや成分に関する有用な情報を与えると考えられ,初期分析の1部門として詳しく調べられた.また,エアロジェルに貫入してからトラックの末端まで到達した塵粒子はTerminal particleと呼ばれた.
     エアロジェルのトラック部分は,顕微鏡に付いた自動極微操作装置に装備された2本の極微針で切り出された.この,切り出されたエアロジェル小片をKeystoneと呼ぶ.続いて塵粒子を針で抽出したり,薄片を作製する等の各分析に適した試料調整が注意深く実施された.



Fig. 3. The closest short exposure image of the surface of Comet Wild 2. The listed names (right figure) are those used by the Stardust team to identify features [17]. Reproduced by permission from The American Association for the Advancement of Science.



Fig. 4. a) Sample collection trays filled with silica aerogel capture cells. There are 132 aerogel cells of 3 cm and 1 cm thickness for two back-to-back sides (for the cometary and the interstellar sides, respectively). The aerogel capture cells were wedged into the sample collection trays and wrapped on all four sides with 100-μm-thick pure aluminum foil to facilitate aerogel cell removal [21] (http://stardust.jpl.nasa.gov/photo/aerogel1.html). b) Configuration of the sample return capsule. The sample canister is designed to hold and protect the dust particles collected during the Stardust flight. On its base, an aeroshield serves as a cover. In flight this opens like a clamshell, allowing the aerogel dust collector grid to encounter dust (left). After collecting the dusts, the sample return capsule stores the samples of cometary and interstellar dust securely in the sample canister, by folding it inside and tightly closing (right) (http://stardust.jpl.nasa.gov/science/details.html#sample; http://stardust.jpl.nasa.gov/mission/capsule.html).





Fig. 5. Tracks with various shapes that show, from left to right, the transition from slender (type A) to bulbous features with (type B) or without (type C) slender terminal portions. Comet Wild 2 particles penetrated into the silica aerogel from the top of the photo. The total length of the tracks is given in millimeters [20]. Reproduced by permission from The American Association for the Advancement of Science.

3-3.  6部門の初期分析,4項目の有機分析
     スターダストミッション初期分析における第一の目的は「彗星に固有の成分を検出すること」であった.つまり,地上由来の汚染との区別が重要な課題であった.そのため,試料が分析される前から長年にわたり,試料キュレーション設備,試料調整法の開発,地上汚染の調査分析,といった準備が入念になされた.
     採取されたWild 2彗星塵は,元素分析,赤外分光分析,鉱物・岩石分析,同位体分析,有機分析,衝突跡分析の6部門で分析された.有機分析はさらに,難揮発性有機物の1)構造分析と2)同位体分析,また個別成分分析として3)アミノ酸分析と4)PAHs分析に細分化され,各々Table 2に示した分析法が用いられた.アミノ酸分析を除くと,これまで主として活用されてきた溶媒抽出やクロマトグラフィーなどの諸分析とは異なる手法が並ぶ.これは,ミクロンサイズ以下の塵試料中から有機物を検出するために微小分析法を要したからである.加えて非破壊分析法がほとんどである.Table 2中のいくつかの分析法は隕石無機化学や惑星間塵研究分野で既に一般的に用いられ,有機物分析にも適用の幅を広げてきた手法であり,これは近年の宇宙化学研究の傾向の一つであると言える.

Table 2. Analytical techniques applied in Stardust mission organics preliminary examination


3-3-1. 構造分析
3-3-1-1. Wild 2彗星塵の走査型透過X線顕微鏡-X 線吸収端近傍構造分析
     走査型透過X線顕微鏡(Scanning Transmission X-ray Microscopy, STXM)とX 線吸収端近傍構造(X-ray Absorption Near Edge Structure, XANES)は,近年急速に発展を遂げているシンクロトロン放射光による微小分析技術の一つである [22] .本分析に選ばれた3つの軟X線(200-800eV)ビームライン(バークレー国立研究所, Advanced Light Source (ALS) ビームライン5.3.2., 11.3.2., ブルックへブン国立研究所, National Synchrotron Light Source (NSLS) ビームラインX1A)はSTXM-XANESを実施できる世界で数少ないビームラインである.著者はALS ビームライン5.3.2.での測定に参加した.日本の放射光実験施設にはまだSTXM-XANESは設置されておらず馴染みがないと思われるので,本法の原理を以下に簡潔に加える.
     軟X線領域(200 – 800 eV)は,C, N, O原子の1s 吸収端(C 1s: ~ 285 eV, N 1s: ~ 405 eV, O 1s: ~ 540 eV)をカバーしている.つまり,有機物中のC, N, O原子が軟X線を吸収すると,原子の1s軌道(内殻軌道)から非占有軌道あるいはイオン化準位のすぐ上の準連続状態(例:π*軌道,σ*軌道)へ光電子が励起する(Fig. 6)[23] .この時にとりうる励起状態は原子間の結合すなわち分子の電子構造によって異なり,X線スペクトルの吸収端近傍領域に複雑な微細構造として現れる.これに空間・エネルギー分解能の高いSTXMを組み合わせることで,試料のサブミクロン領域における有機物の官能基の分布を定性・定量的に評価することができる.
     彗星塵試料は,エポキシ樹脂,シアノアクリレート樹脂,あるいは硫黄で包埋後,ウルトラマイクロトームで約100 nmの薄片にしたものを,透過型電子顕微鏡観察に使われる格子状の試料サポートに乗せた状態で各ビームラインに配分された.
     Fig. 7は,2つの異なるX線エネルギーで取得したWild 2彗星塵のSTXM画像である.両者でエネルギー吸収が異なる様子が見られる.有機物を識別するには,炭素の吸収端より低いエネルギーを吸収せず,吸収端より高いエネルギーを吸収する領域を探す.このような領域を,C, N, O-に相当するエネルギー領域でそれぞれ測定し,C, N, O-XANESスペクトルを得た.
     Fig. 8に8種のWild 2彗星塵から検出された有機物のC-XANESスペクトルを示した [24, 25] .試料によってそれぞれ異なるスペクトルが得られた.特に,アミド(R-CO(NH)-R’)やニトリル(R-C≡N)といった含窒素官能基と,カルボニル(カルボキシル(R-COOH)かエステル(R-COOR’)),アルコール(R-OH)またはエーテル(R-O-R’)といった含酸素官能基を豊富に含むことが明らかとなった.また,脂肪族炭素が多い試料もあった.Wild 2彗星塵と,炭素質コンドライトから分離した不溶性高分子量有機物のC-XANESスペクトルを比較すると,Wild 2彗星塵の有機物の方が芳香族炭素の割合が低く,8つの異なる試料のスペクトルから非常に多様であることが分かる.一方,炭素質コンドライトの不溶性高分子量有機物は芳香族炭素の割合が優位で,異なる隕石グループ間(CR2, CV3)でも彗星塵ほどスペクトルに顕著な違いは見られない.Wild 2彗星塵と無水惑星間塵のC-XANESスペクトルの比較では,Wild 2彗星塵の有機物の方が惑星間塵よりも芳香族炭素が少ないが,ニトリルとカルボニルのシグナルが顕著に見られる点では類似していた.
     彗星塵のN-XANESスペクトルは比較的S/N比が低く全体的にブロードだったが,一部の試料ではアミドやニトリルなどのピークが検出されC-XANESの同定結果と一致していた(Fig. 9)[25] .それ以外の398-405 eVの領域はキャラクタリゼーションが複雑で,おそらくアミノ(C-NH),尿素(R- NH(CO)NH-R’),カルバモイル(R-NH(CO)OR’)等の,エネルギー吸収の似た複数の含窒素官能基を多く含んでいることが予想される [25] .炭素質コンドライトや無水惑星間塵の有機物との比較からは明瞭な特徴が見出し難いが,C-XANES からも見出されていたように無水惑星間塵からニトリルのピークが認められたことは彗星塵との共通点に見える.彗星塵試料のO-XANESスペクトルではどの試料でもカルボニルのピークが現れるのみで,C-XANESでカルボニルが同定されたことと一致していた.以上をまとめると,Wild 2彗星塵の有機物は窒素と酸素に富んだ多様な官能基を含み,試料によって各官能基の存在の有無と割合に多様性があり,複雑で不均一な組成をしていることが示された.
     ブランクチェックとして,エアロジェルやエポキシ樹脂のC-XANESスペクトルを調べたところ,共に彗星塵のスペクトルとははっきり区別できた(Fig. 10a).このことから彗星塵試料から得られたスペクトルは彗星塵由来の有機物を反映していることが確認された.エアロジェルは固体13C-, 29Si- 核磁気共鳴(NMR)でも分析され0.25% – 数%の炭素を含むことが分かったが,その多くはSiに結合した脂肪族炭素鎖の形で存在しており,彗星塵に固有の有機物とは区別された[25].micro-FTIR分析でも彗星塵由来の脂肪族炭素とは明らかに異なることが示されている(3-3-1-2.に記述).本来は,有機物のXANES分析には有機物であるエポキシやシアノアクリレートを包埋に用いるよりも硫黄を用いるのがバックグラウンドを下げるためにより良い選択である.しかし,電子顕微鏡を用いた観察研究において試料の薄片作製にエポキシを使うのは従来から最も標準的で適切な方法であるということで,本ミッションでは優先的に採用されたのだと思われる.
     エポキシに包埋した試料でしか見られないユニークな現象も見られた.STXM画像をよく見ると,塵粒子試料周辺に灰色の吸収が薄く広がっている(Fig. 10b).この領域のC-XANESのスペクトルでは,カルボニル基やエーテル・アルコール基に富むことが判明した [25] .スペクトルの比較より,このシグナルはエポキシやエアロジェルではないことから,汚染ではないようである.彗星塵に固有の成分であるのならば,エポキシに可溶な成分が彗星塵から浸出したのかもしれない.Cody et al. (2008) [25] は,この成分を“スペースジュース”と命名した.
     測定した彗星塵試料について得られたXANESスペクトルからWild 2彗星塵の有機物のN/C比,O/C比を見積もりプロットした(Fig. 11)[25] .これらの比は,炭素質コンドライト中の不溶性高分子量有機物およびHalley彗星のCHON粒子の値(O/C = 0.2, N/C = 0.04)[26] より大きかった.しかもそれらの比は試料間で類似性がなく非常にばらついていたので,Wild 2彗星塵を構成する有機物の前駆物質は単一物質ではなく複数の異なる前駆物質が存在する可能性,あるいは彗星有機物成分が平衡に達していない可能性が考えられている.



Fig.6. Energy diagram of X-ray absorption process [23]. Reproduced by permission from The Surface Science Society of Japan.



Fig.7. ray image of a Comet Wild 2 particle from track 35, grain 16, mount 10 acquired at a) 280 eV (just below the carbon 1s XANES region) and b) 290 eV (within the carbon 1s XANES region). Organic matter is enclosed in square rounds 1 - 4.



Fig.8. C-XANES spectra of organics associated with Comet Wild 2 particles. Included for comparison are spectra of an anhydrous interplanetary dust particle (IDP) and insoluble organic matter isolated from CR2 (EET92042) and CV3 (Allende) chondrites. Peaks corresponding to specific functional groups are indicated with letters A-F. A: 1s-π* transition at ~ 285 eV for aromatic or olefinic carbon (C=C), B: 1s-π* transition at ~ 286.7 eV for nitrile (R-C≡N), C: 1s- 3p/s* at ~ 287.5 eV for aliphatic carbon (CHx), D: 1s- π* transition at ~ 288.2 eV for carbonyl carbon in amide (R-CO(NH)-R’) moieties, E: 1s-π* transition at ~ 288.5 eV for carbonyl carbon in carboxyl or ester (R-COOR’) moieties, F : 1s-3p/s* transition at ~ 289.5eV for alcohol or ether (CHx-OR) moieties, and G: Frenkel type 1s-σ * exciton at 291.6 eV [25]. Reproduced by permission from The Meteoritical Society.



Fig.9.N-XANES spectra of organics associated with Comet Wild 2 particles. Included for comparison are spectra of an anhydrous interplanetary dust particle (IDP) and insoluble organic matter isolated from CR2 (EET92042) and CV3 (Allende) chondrites. Peaks corresponding to specific functional groups are indicated with letters A-E. A: 1s-π* transition at ~ 399 eV for imine nitrogen (R-C=N), B: 1s- π * transition at ~ 400 eV for nitrile nitrogen (R-C≡N), C: 1s-π* transition at ~ 401.4 eV for amidyl nitrogen (R-CO(NH)-R’), D: 1s-3p/s* transition at ~ 402.5 eV for amino nitrogen (R-C-NH), and E: 1s-3p/s* transition at ~ 403.5 eV for urea nitrogen (RNH( CO)NH-R’) [25]. Reproduced by permission from The Meteoritical Society.



Fig. 10. a) X-ray image of a Comet Wild 2 particle from track 35, grain 16, mount 10 acquired at 280 eV. Note the particle, largely granular and silica rich (outlined with a solid line) is embedded in epoxy. Highlighted with dashed line is a region of some other organic phase that was extracted by the wet epoxy from the particle [25]. b) C-XANES spectra of (from top to bottom) epoxy, the soluble phase that was extracted by the epoxy from embedded particles, highly silica rich regions, and organic associated with Comet Wild 2 particles from track 35, grain 16, mount 4 [25]. Reproduced by permission from The Meteoritical Society.

3-3-1-2. Wild 2彗星塵の赤外分光分析
     官能基分析に,STXM-XANESと併せて顕微フーリエ変換赤外分光(micro-Fourier Transform Infrared Spectroscopy, micro-FTIR)分析も行われた.鉱物分析を含めて,特に定性に優れた分析法である.本分析に関わった3つのラボラトリーのうちの1つでは,Keystone中のトラックの先頭から末端までの全体部分をmicro-FTIRで観察することによって,2つの異なるトラックにおける有機物分布を比較した.その結果,一つのトラック(トラック試料No. 59)ではIRスペクトルからヒドロキシル(-OH),カルボニル(C=O),脂肪族炭素(C-H),芳香族炭素(C-H),ニトリル(-C≡N)といった官能基の赤外吸収がトラックの広範囲に渡って検出された [24] .これらの官能基は前述のSTXM-XANESでも検出されており,両分析結果は一致する.一方で,もう一つのトラック(トラック試料No. 61)では,エアロジェルに由来する脂肪族炭素のC-H伸張振動以外の吸収は全く検出されなかった.互いに類似した長さのトラックはおそらく類似の衝撃エネルギーを受けて形成されたものだとするならば,これら2つのトラックの赤外吸収に見られる相違は,トラック59で検出された官能基は彗星塵がエアロジェルに捕獲された際の衝撃反応でエアロジェル中の炭素から2次的に生成したものではないということを示唆している [24] .
     また,赤外線は脂肪族炭素に強く吸収される性質を生かし,メチル(CH3),メチレン(CH2),メチン(CH)基を区別することができた.Fig. 12のように,CH2基の割合が豊富なWild 2彗星塵試料と,CH3基の割合が突出するエアロジェルとではIRスペクトルが異なり,塵試料の脂肪族炭素はエアロジェル由来のものではないことが明示された[27].塵試料のCH2 と CH3の比(CH2 / CH3)は~ 2.5で,この値は無水惑星間塵のIRスペクトルから得られた値に近い[28-30] .一方,炭素質コンドライト中の不溶性高分子量有機物の値(~ 1.1)[28, 31, 32] や星間物質(Interstellar medium, ISM)の値(1.1 – 1.25)[33, 34] よりもはるかに高かった.このことから,Wild 2彗星塵の脂肪族炭素鎖は,炭素質コンドライトやISMのそれよりも長いか分岐構造が少ないと推測できる.micro-FTIRの長所は,微小領域中の有機成分マップからどの官能基がどの領域に多いか区別できる点であるが,現段階では,色々な官能基が似たような分布をしているという結果にとどまっている [24] .これも彗星塵有機物の複雑さの現れかもしれない.

3-3-1-3. Wild 2彗星塵のラマン分光分析
     共焦点顕微ラマン分光分析は,試料を単色光のレーザーで走査しながら,各ピクセル毎に試料の化学結合または結晶格子の振動様式に固有なラマン散乱光のスペクトルとして検出し,サブミクロン領域の分子構造または結晶状態についての情報を得る分析法である.有機物に関しては,高度に共役したsp2炭素の平面構造に由来するG-バンド(~ 1580 cm-1)と,無秩序なアモルファス構造に由来するD-バンド(~ 1360 cm-1)がスペクトル上に現れる.両バンドの中心波数・半値幅・ピーク強度比は,試料の構造,さらには試料が受けた熱作用の度合いを反映するパラメータとして適用できることが知られる [35, 36].一般に,熱作用をより受けた有機物ほど環縮合が進行するため,G-バンドの位置が高い波数へシフトし,G-, D-バンド幅が共に狭くなる.スターダストミッションにおいてもWild 2彗星塵中の有機物が経験した熱変成度を評価する目的で,18種の塵粒子試料が5つのラボラトリーで分析された.本分析では,測定操作による有機物試料の変性を避けるよう配慮し,できる限り弱い強度のレーザー出力(~ 55 µW)が適用されている.
     Wild 2彗星塵のラマンスペクトル(Fig. 13)[24, 37] では,比較的なだらかで幅広いD-, G-バンドが現れた.これは惑星間塵やほとんど変成を受けていない炭素質コンドライト(CR2グループ)中の不溶性高分子量有機物のスペクトル(Fig. 13)に類似していた.そして,熱変成を受けている炭素質コンドライト(CV3グループ)中の不溶性高分子量有機物の鋭く幅の狭いD-, G-バンドとは明らかに区別される結果であった.これらのスペクトルを,“構造の秩序さ”および“熱変成度”のパラメータであるG-バンドの半値幅(ΓG)とG-バンドの位置(ωG)およびD-バンドの半値幅(ΓD)で評価したところ,大部分の彗星塵試料の値が惑星間塵および始原的な炭素質コンドライト(CR, CI, CMグループ)の値の範囲に位置した(Fig. 14)[37] .すなわち,彗星塵中の有機物も惑星間塵および始原的な炭素質コンドライトと同程度に無秩序な構造を持ち,あまり熱変成を受けていないことが示唆された.本結果は前章で述べた官能基分析の結果,すなわち多様な含窒素・酸素官能基または脂肪族炭素に富むことにもかなう.Fig. 14中のプロットにばらつきがある傾向もまた,XANES分析からの結論に同じく多様な分子構造や組成あるいは複数の前駆物質による寄与をおそらく反映しているのだろう.

3-3-1-4. コンドライト隕石中の有機物との比較 I. 構造分析
     Wild 2彗星塵のSTXM-XANESとFTIR分析の結果をまとめると,Wild 2彗星塵中の高分子量有機物の構造は多様な含窒素・酸素官能基または脂肪族炭素に富み,芳香族炭素は比較的少ないことが分かった.この構造の特徴についての理解を深めるために,研究がより発展している炭素質コンドライト中の有機物の構造との詳しい比較をしてみる.
     始原的な炭素質コンドライトの有機炭素量は2-3% [44] であることが知られている.このうちの大部分(70-99%)を不溶性高分子量有機物が,残りを可溶性有機化合物(アミノ酸など)が占める [45] .前者は酸や溶媒に不溶で,隕石粉末をHCl/HF等で無機鉱物を溶かして除いた後に得られる不溶性の炭素質残渣を指す.2000年代に入り,不溶性高分子量有機物の構造分析にはNMRがよく適用されるようになった [32, 46-48] .一般に,高分子量有機物の構造解析には固体13C NMRを用いるのが,定性・定量両面において最も効果的である.ただし,固体NMRの十分なスペクトルを得るには最低でも20mg以上の試料量が必要であり,惑星間塵同様,彗星塵の測定は適用できないので,スターダストミッションでは微小分析が可能なXANESやmicro-FTIRが採用された.測定時間でもNMRよりXANESの方がきわめて迅速で効率的である.これまでのNMR研究によると,始原的な炭素質コンドライト中の不溶性高分子量有機物は,比較的小さな芳香族炭素(1~6環)のユニットを約50 - 60%と最も豊富に含み,その間を分岐鎖に富んだ脂肪族炭素(約20%)と酸素を含む官能基(カルボニル,エーテル結合等)(約20%)が多様に架橋構造をとっているという化学構造が描かれる.母天体での変成をあまり受けていない隕石ほど,脂肪族炭素の割合が相対的に多く,変成を強く受けた隕石ほど,芳香族炭素の割合が高いことが示されている [47, 48] .
     Remusat et al (2005)[49] はRuO4分解法を用いて,炭素質コンドライトに含まれる不溶性高分子量有機物構造の芳香族ユニット間を架橋する脂肪族炭素鎖を選択的に取り出した.その結果,炭素数2 から9 の直鎖・分岐鎖アルキル基が存在することが判明した.またYabuta et al.(2006)[50] はHayatsu et al(1980)[51] が行ったアルカリCuO分解法の再試を行い,不溶性高分子量有機物中のエーテル結合を選択的に切断し分解生成物を分析したところ,1~2環の芳香族炭素に加え炭素数2 から7 の脂肪族炭素鎖がエーテル結合で架橋していることを示した.両研究から,炭素質コンドライト中の不溶性高分子量有機物構造のアルキル基は,炭素数4の脂肪族炭素鎖の割合が最も高かった.上記を考慮すると,Wild 2彗星塵の高分子量有機物中の芳香族炭素は全体の50 %を下回り,さらに,ISMや炭素質コンドライトの有機物の脂肪族炭素鎖に比べ長く,窒素や酸素原子を多く含んだ分子構造であると示唆される.
     炭素質コンドライト(C2グループ)のTagish Lake隕石から初めて発見された有機質のナノグロビュール[52] は,分子雲で生成した有機物が隕石母天体で一度分解した後,水質変成で球状物質を形成したと考察された.その成分もまたmicro-FTIRで分析され,主に脂肪族炭素と含酸素官能基であることが分かっており,Wild 2彗星塵の分析で明らかにされた官能基の組成と共通性が見られる.後に,このナノグロビュールの窒素同位体比(δ15N = 200 - 1000‰)と水素同位体比(δD = 1800 - 8100‰)[53] はTagish Lake隕石中の有機物のバルク同位体比(δ15N = 77‰ [54], δD = 596‰ [55])に比べ異常に高いことから,ナノグロビュールは星間分子雲または原始惑星系円盤外縁部などの低温環境で形成された始原的物質の名残である可能性が高く,彗星にも同じような成分が含まれたはずであると議論されている [53] .  Wild 2彗星塵のSTXM-XANES分析から見出された可溶性成分“スペースジュース”は,炭素質コンドライト中の不溶性高分子量有機物を同じ分析方法で測定しても,検出されなかった.この相違は,Wild 2彗星塵が,いかなる化学処理を施されず,低分子量で可溶性の有機物が試料中に含まれている状態で分析されたのに対し,炭素質コンドライトの方は,化学処理によって分離された不溶性高分子量有機物だけが分析されたという点にも,影響されているだろう.あるいは,彗星塵には,可溶性の化学構造の割合が多い高分子量有機物が形成されている可能性も考えられる.
     スターダスト初期分析において,ラマン分光分析は主にWild 2彗星塵の経験した熱変成度を評価する目的で用いられたが,ラマンスペクトルはまた,エネルギー照射による有機物の変成を反映することでも知られる [56] .熱変成をほとんど受けていない惑星間塵のラマンパラメータにばらつきが見られるのは,星間空間におけるエネルギー照射プロセスが様々であるためと解釈されている [57] .また室内実験では,高配向性グラファイトが照射を受けてアモルファス化することが見出されている.Fig. 14aを見ると,1試料だけ(白丸のプロット)G-バンドがかなり低い波数に位置している.つまり他の試料よりもアモルファスな構造を表している [24, 37] .このことは,Wild 2彗星有機物の起源物質が星間空間で受けた照射プロセスは一定でない,または星間空間で異なる化学反応を経た起源物質が混じっていることを反映しているのかもしれない.
     Fig. 14cでは,コンドライト隕石について幾つかの研究で得られたラマンパラメータがプロットされている.そのうち薄灰色で示された部分は,HCl/HF等による化学処理を行わなかった隕石試料に該当し,不溶性高分子量有機物を表す四角印のプロットから右側に外れている.これは,化学処理を行わなかった隕石に含まれる可溶性有機物の存在を反映している可能性がある[37] .
     ラマン分析では,できるだけ弱いレーザー強度が用いられたが,彗星塵中の有機物が測定によってダメージを全く受けていないことを保証できる根拠は得られていない.始原的な炭素質コンドライト(例えばCM)から分離した不溶性高分子量有機物のラマン分析では,弱い強度のレーザーを用いても,照射した跡が測定後の試料表面上に見られている(Henner Busemann, private communication).しかし,得られたラマンスペクトルからは,レーザーによる熱で試料の芳香族化が進んだ証拠は見出されなかった.スペクトルは始原的な構造を反映し,変成を受けた炭素質コンドライト中の不溶性高分子量有機物のラマンスペクトルとは明らかに区別されている [35] .これらの研究結果から考えられるのは,レーザーによる熱が試料に行き渡り化学構造が影響を受けるよりも前に,ラマンスペクトルが取得されたのではないだろうかということである(Busemann, private communication).同様に,Wild 2彗星塵中の有機物のラマンスペクトルも,試料がレーザーによって影響を受けるより速く取得されたものである可能性が考えられる.
     また,ラマンスペクトルのG-バンドが示す高度に共役したsp2炭素は,C-XANESにおいても,1s → σ*への遷移である フレンケル励起子(291.63 eV)として検出することができる[58, 59] .XANESは定量性に優れている点から,Cody et al. (2008) [60] は,コンドライト隕石中の不溶性高分子量有機物のC-XANESスペクトルに現れるフレンケル励起子のピーク強度が熱変成の進行と共に増加することを示し,各隕石が母天体で経験した温度 Tmax(ºC)を見積もった.Wild 2彗星塵のC-XANES分析では先に示したFig. 8のように,どの試料のスペクトルからもこのフレンケル励起子(Fig. 8,ピークG)は検出されなかったが,熱変成を受けている炭素質コンドライト(CV3グループ)のAllende隕石では検出されている.本結果からも,Wild 2彗星塵中から検出された有機物は熱変成をほとんど経験していないというラマン分析の結果を支持することができる.





Fig. 11. Atomic N/C vs O/C derived from C-, N-, and O-XANES of organics associated with particles extracted from the Stardust aerogel collectors (□) [25] . Included are elemental data for meteoritic organic matter isolated from chondrites ranging from type 1 to 3 (■) and the anhydrous interplanetary dust particle (IDP) (●). Reproduced by permission from The Meteoritical Society.



Fig. 12. The C-H stretching features obtained from Comet Wild 2 particle (A), aerogel (B), and the diffuse interstellar medium (ISM) (C) [27]. Reproduced by permission from The American Association for the Advancement of Science.



Fig. 13. Raman spectra of selected Comet Wild 2 particles compared to those of interplanetary dust particles (IDPs) [37] and insoluble organic matter from two carbonaceous chondrites (CV3, CR2) [35]. All spectra exhibit characteristics D (~ 1360 cm-1) and G bands (~ 1580 cm-1) due to disordered carbonaceous materials and fluorescence backgrounds of various intensities [37]. Reproduced by permission from The Meteoritical Society.



Fig. 14. Raman D and G band parameters (ω = center, Γ = full width at half maximum) of Comet Wild 2 particles compared to those of meteorites and interplanetary dust particles (IDPs) [37]. (a, b) Data of Comet Wild 2 particles. (c, d) Data of Comet Wild 2 particles compared to those of meteorites. “IOM” is insoluble organic matter separated from wide range of meteorite classes. Gray regions show the range of parameters measured in chemically unprocessed meteorites [36, 38, 39, 40]. (e, f) Data of Comet Wild 2 particles compared to those of interplanetary dust particles (IDPs). The ‘LANDS’ data are from [37], the ‘Munoz’ data are from [41] and the WU IDP data point is from [42]. Gray regions indicate range of IDP data reported graphically by [43]. In (b) and (c) the long-dashed line is fit to the IOM data of [35]. For clarity, only the average of the two (similar) Track 17 samples is shown in (d-f). Reproduced by permission from The Meteoritical Society.

3-3-2.  同位体分析
3-3-2-1.  Wild 2彗星塵の2次イオン質量分析
     2次イオン質量分析(Secondary Ion Mass Spectroscopy, SIMS)は,数十keVのエネルギーで加速し収束させたCs+ の1次イオンビームを固体試料表面の微小領域に衝突させることで,試料表面から放出された2次イオンを質量と電荷比に応じて分離・検出して,試料表面の化学組成や同位体組成を分析する測定法である.1次イオンビームにより試料表面から2次イオンが‘はじき出される(スパッタ,sputtering)’ので,分析を続けると表面からの深さ方向の分析が,さらに1次イオンビームを走査することで面分析が可能になる[61].SIMS の空間分解能が 約 1.5 μmであるのに対してNanoSIMSは約100 nmとさらに高い.NanoSIMSの特長として,数十µmの領域の同位体組成分布を100nm以下の空間分解能でかつ定量的な情報をもつ画像として最大7つまで同時に取得できる.この特長を活かして微小領域の同位体組成二次元分布を取得することができる[61].本分析は同位体・有機物両チームの連携で実施された.
     5種のWild 2彗星塵の水素同位体比がSIMSにより分析された.5試料中3試料のD/Hが標準平均海水(Standard Mean Ocean Water , SMOW)のD/H比より3倍高く [62] ,重水素Dの異常濃集領域“Hotspot”では最高でδD = 2200 ± 1000‰ であった.Dに富んだ水素の分布はみな炭素が存在する領域と相関していたので有機物由来と判断された.また,これらの値は惑星間塵 [63, 64] や炭素質コンドライト中の不溶性高分子量有機物 [65] ,長周期彗星のH2O [66] のD/H比の範囲内に含まれるが,その中で比較的低い値であった(Fig. 15).しかし,炭素質コンドライトの有機物のHotspots [65] (後述)や彗星氷のHCN(δD = 13300‰)[67] の値に比べると遥かに低かった.
     また多種のWild 2彗星塵の窒素同位体比がNanoSIMSにより分析された [24] .本分析では,窒素を12C14N- として検出しているので有機物に由来する.多くの試料のδ15N は 0‰(大気の値)に近かったが,幾つかの試料ではδ15Nが+100 ~ +500‰ (Hotspotではδ15N = 1300 ± 400‰)まで達し,無水惑星間塵もしくは炭素質コンドライトの有機物の値に類似していた [63, 65, 68] .中にはHale Bopp彗星のHCNガスや木星大気,もしくは月の塵に取り込まれた太陽風のδ15N値と同じぐらい低いδ15N値(-350 ~-520‰)を示した試料もあった [62] .このようなδ15N値のバリエーションは,彗星有機物の起源物質が同位体的に不均一であることを示唆している [62] .



Fig. 15. Hydrogen isotopic compositions in bulk fragments of Comet Wild 2 particles (●) and in micrometer-sized subareas of one particle ( ○ ) compared to standard mean ocean water (SMOW) and to ranges of laboratory measurements of D/H in interstellar dust particles (IDPs) and in insoluble organic matter (IOM) from chondritic meteorites [62]. Also shown are estimates for protosolar H2 and ranges of D/H measured remotely for specific gaseous molecules from comets and for molecular clouds. Reproduced by permission from The American Association for the Advancement of Science.

3-3-2-2. コンドライト 隕石中の有機物および惑星間塵との比較 II. 同位体分析
     コンドライト隕石中の不溶性高分子量有機物はDと15Nに富むことがこれまでにも知られており,おそらく星間分子雲起源 [69-71] あるいは原始惑星系円盤外縁部 [72] で形成された物質に由来すると考えられてきた.けれども,原始太陽系星雲,原始惑星系円盤,隕石母天体での環境条件,さらに隕石母天体上での水質変成・熱変成によって同位体組成は変化するので,これらの有機物の起源物質を推定することは困難であった.特に,従来の同位体測定は,隕石試料をバルクで取り扱っており,部分ごとによる違いを求めることができなかった.しかし,近年のSIMSを使った分析により,コンドライト隕石中の高分子量有機物を微小領域ごとに分けて分析すると水素・窒素同位体比にバリエーションがあることが初めて見出された(Fig. 16)[65] .最も始原的な隕石とされる炭素質コンドライト(CRグループ)の一つ,EET92042隕石の高分子量有機物のDのHotspotではδD が19400 ± 4600‰ であり,これまで求められていたバルク値の3004‰よりはるかに高い値が見出された.窒素でも同様に,15NのHotspotでδ15N = 1770 ± 280‰ (バルク値は185.5‰)であった.本結果は,コンドライト隕石中の有機物の前駆物質のごく一部は母天体変成を免れ隕石中に保存されていることを明らかにした.Fig. 16に見られるように,Dと15NのHotspot領域が必ずしも一致していない点については,複数種の分子や化学反応が同位体異常をもたらしたと考えられている.
     特に,彗星起源の可能性が強い惑星間塵として知られる,非常にもろく採取時に数十~数百の小片に崩壊しやすい“クラスターIDP”でEET92042隕石と同レベルまたはそれ以上に高いδD値が報告されている(例:HotspotでδD = 24800 ± 1500‰) [63] .惑星間塵の15NのHotspot はδ15Nが 1270‰ [68] で,これもまたEET92042隕石の値に近い.ただし,これまでに測定された惑星間塵の中にはこれらとは異なり著しく低いδD値を与える試料も多々あった [63] .この理由としては,惑星間塵 が大気圏に突入する際の摩擦熱で同位体組成(および元素組成)が変化した可能性が考えられている.この点で,Wild 2彗星塵のδD(HotspotでδD = 2200 ± 1000‰)もその本来の値であるかどうかはまだ定かでない.塵がエアロジェルに捕獲された際の熱で変成した可能性も指摘されている [62] .そうはいっても,地球物質のδDより遥かに高く,一部のδ15Nは炭素質コンドライトの有機物および惑星間塵と同様に高い点から,Wild 2彗星塵中の有機物が地球外起源である確かな証拠が得られたことになる.
     豊富なDが生じるためには,極低温(10K)下での気相でのイオン-分子反応またはダスト表面反応が必要である.このような環境に星間分子雲または原始惑星系円盤外縁部が考えられている.星間分子雲を起源とする背景には,炭素質コンドライト中の不溶性高分子量有機物とISM中の難揮発性有機物の赤外およびUVスペクトルが互いに似ている点 [34, 73] ,星周塵がコンドライト隕石や惑星間塵から見つかり星間物質が太陽系形成過程を生き延びた証拠が得られている点[74, 75],またコンドライト隕石中のプレソーラーダイヤモンドに対する不溶性高分子量有機物の相対量が複数の隕石試料についてほぼ一定である点 [71, 76] がある.それに対して,原始惑星系円盤外縁において同位体異常が生じた分子が高分子量有機物にとりこまれた証拠は存在しない.したがって現段階では分子雲説の方が優位であるが,いまなお議論の渦中である.
     水素と窒素の同位体比から,コンドライト隕石,惑星間塵,そして彗星に含まれる有機物は共通の起源物質を由来とするのではないかとの推測が高まる.コンドライト隕石と彗星の有機物では元素組成についても類似性が見られた.例えば,Dと15Nの異常が見られた炭素質コンドライト(CRグループ)のEET92042とGRO95577隕石はそれぞれC100H75N4O17S3, C100H79N3O11S1 [55] ,Halley彗星のCHON粒子はC100H80N4O20S2 [26] ,Wild 2彗星塵(例:C2054,0,35,32,10)はC100N7O25 [25] ,といったように互いに似ている.しかし,それぞれに含まれる有機炭素量でいうと,彗星(> 30%)[12] と惑星間塵(~12%)[77] の方が隕石(2 - 3%)[44] に比べて非常に高い.これは,起源物質が同一であっても三者各々に取り込まれた量が異なることを反映しているか,あるいは各々が経たプロセスによって起源物質から進化した結果を示唆しているのだろう.



Fig. 16. Maps of (A) δD and (B) δ15N in a sample of insoluble organic matter from the CR2 chondrite EET 92042 obtained by NanoSIMS. Most D and 15N hotspots in EET 92042 (δD up to 16300‰ and δ15N up to 1770‰) are not spatially associated [65]. Reproduced by permission from The American Association for the Advancement of Science.

3-3-3. アミノ酸分析
3-3-3-1.  Wild 2彗星塵中のアミノ酸とその関連化合物
     生命の起源の研究において,これまで最も注目されてきた地球外有機物といえばアミノ酸であろう.本分析を担当したNASA ゴッダード宇宙センターのD. Glavin, J. Dworkin両博士は,HPLC-FD(蛍光検出)とTOF-MSを組み合わせた超微量アミノ酸分析法を開発した [78] .HPLC-FDの検出限界(~10-14 – 10-15 mol)はGC-MSの検出限界(~10-12 mol)よりも非常に低い [79] .また,TOF-MSでは生成するイオンのロスが少ないので,その感度は四重極やイオントラップ型より高い [80] .本分析では,Keystoneごと熱水抽出し,抽出液を酸加水分解するものと酸加水分解しないものの2つに分け,オルトフタルアルデヒド / N-アセチルシステイン誘導化後HPLC-FD/TOF-MSで測定した.その結果,酸加水分解した方からグリシン,L-アラニン,β-アラニン,γ-アミノ酪酸(GABA)のアミノ酸と種々のアミンが検出された(Fig. 17)[24, 81].そのうち,D-アラニンが検出されなかったこと,GABA,エタノールアミン,ε-アミノ-n-カプロン酸はエアロジェルのみのブランク分析でも同レベルで検出されたことから,これらは地球での混入であろうと判断された.グリシンとメチル-,エチルアミンの濃度はブランク分析で得た各濃度に比べ遥かに高かったため,おそらく彗星起源であると結論された.グリシンの濃度はメチル-,エチルアミンの濃度(~ 35 nmol / g aerogel)の約5分の1だった [24, 81] .酸加水分解しなかった方からはアミノ酸もアミンも検出されなかった.今後,グリシンとアミンの個別炭素,窒素同位体分析を行い,地球外起源であるかどうかを確証する予定となっている.

3-3-3-2. コンドライト 隕石中の有機物との比較 III. アミノ酸分析
     超極微量の彗星塵から,溶液抽出によりアミノ酸とアミンが検出されたことは高く評価される.炭素質コンドライトからアミノ酸が豊富に検出されていることは既に良く知られるので[45] ,彗星中にも多量のアミノ酸が含まれていることが,多くの研究者によって期待されていた.しかしながら,得られた結果では,検出されたアミノ酸がグリシンだけで,その濃度も低く,期待通りの結果ではなかった.これはおそらく,試料量そのものが極微量であるからと考えられる.炭素質コンドライト中のアミノ酸分析では少なくても数十mg以上の隕石粉末が用いられていたが,今回分析された彗星塵の質量は直接測れないほどに微量と考えられることから,その中に含まれるアミノ酸の量は,最も多く含まれると期待されるグリシンでもfmolレベルかそれ以下で,ほとんど検出限界である.そのために,グリシンだけがかろうじて検出できたのだと考えられる.一般に酸加水分解しない方は酸加水分解した方より検出濃度が低いので,本結果において試料を加水分解しなかった方からアミノ酸やアミンが全く検出されなかったのは,それらが検出限界以下であったからかもしれない.あるいは,アミノ酸やアミンが遊離の状態で彗星塵または氷中に多く存在していたとしても,アミノ酸のような熱に対して脆弱な分子は,彗星塵がエアロジェルに捕獲された時の衝撃熱で消失した可能性がある.アミノ酸の熱耐性についてはこれまでにも様々な条件による室内実験が実施されている.それらの多くから,700-800Kで10分以上加熱すると加熱前の90%以上は消失し,1000Kを超える瞬間加熱でアミノ酸の大部分は消失するという結果が得られている [82] .または,彗星塵が彗星から探査機へ‘移動’する数時間の間に塵の氷成分の一部は太陽光でおそらく揮発したと考えられているように [20] ,塵中の遊離のアミノ酸も宇宙空間に揮発し,光分解され失われた可能性もある[83] .
     炭素質コンドライト中のアミノ酸の生成には母天体上の水が関与したと考えられている [84-86] .最も主要とされている反応の一つはストレッカー反応,つまりシアン化水素(HCN),アンモニア(NH3),そしてアルデヒドやケトンなどのカルボニル化合物が反応してα-アミノ酸を生じるというプロセスが挙げられる.Wild 2彗星塵の鉱物分析からは,この彗星が水質変成を受けた証拠は見出されなかった [87] .XANES分析で明らかになったように,Wild 2彗星塵中の有機物にはニトリル基やカルボニル基が含まれ,アミノ酸を生成するポテンシャルは持っているようである.しかし,Wild 2彗星では水質変成を受けなかったためにアミノ酸をほとんど生成しなかった可能性も考えられる.
     室内実験では,模擬星間物質(分子雲氷)H2O-CO-NH3の陽子線照射により生成した固体状の有機物を酸加水分解すると,アミノ酸が生じることが実証されている [88] .この固体状有機物の化学構造には,アミド,尿素,ニトリルといった多種の含窒素官能基を含むことが,熱分解研究から示されている [89] .また,分子雲氷H2O-CH3OH-CO-NH3のUV照射実験により生成したヘキサメチルトリアミン(C6H12N4)[90] や,HCNの前駆物質として提案されているHCNポリマー [91] も,酸加水分解を行うとアミノ酸を生じることが分かっている.これらの研究で形成された高分子量有機物は,彗星の難揮発性有機物を構成する分子構造の候補と考えられており,彗星環境においてアミノ酸前駆体は生成されうるが,アミノ酸そのものの生成には,アミノ酸前駆体と水との反応を必要とすることが示唆される.
     アミノ酸に比べて,Wild 2彗星塵中のアミンは比較的多かった.アミンはアミドやイミンを酸加水分解すると得られる.よって,Wild 2彗星塵のXANES分析でアミドやイミン,アミド結合を含む尿素基などが検出されていることは,彗星塵にアミン前駆体となる分子構造が比較的豊富に存在することを示唆し,本結果と一致する.アルキル(C1 – C5)アミンは炭素質コンドライトからも検出されており [92, 93] ,その組成がα-アミノ酸のものと似ていることから,炭素質コンドライト中のアミンとアミノ酸の一部は,それらの生成過程において関連性を持つと考えられている.





Fig. 17. The fluorescence chromatograms from HPLC/TOF-MS analyses of (A) Comet exposed aerogel (C2054,4) (B) aerogel witness coupon and (C) preflight aerogel [24]. Gly: Glycine, β-Ala: β-Alanine, GABA: γ-Aminobutyric acid, L-Ala: L-Alanine, EACA: ε-Amino-n-capric acid, MEA: Ethanol amine, MA: Methylamine, EA: Ethylamine. Reproduced by permission from The American Association for the Advancement of Science.

3-3-4.  多環式芳香族炭化水素(PAHs)分析
3-3-4-1. Wild 2彗星塵中のPAHs
     PAHsの分析には,二段階レーザー脱離・イオン化質量分析(L2MS)と飛行時間型2次イオン質量分析法(TOF-SIMS)の2つが用いられた.L2MSでは,赤外パルスレーザーで10 – 40 μm スポット内の分子を脱離させ,続いて脱離した分子を266nmのUVパルスレーザーでイオン化したものを,リフレクトロン飛行時間型質量分析で検出する [94](Fig. 18).TOF-SIMSは,Gaイオン源からの1次イオンパルスを試料表面に照射し,照射部位近傍の分子から生じるフラグメントイオンを飛行時間型質量分析で検出することによって,高い空間分解能(~ 0.2 μm)と質量分解能(m/∆m FWHM = ~ 4000 - 5500)で試料表面の化学情報を得る構造分析法である [95] .SIMSには,一次イオンの照射量の違いによってDynamic-SIMSとStatic-SIMSの2種類があるが,TOF-SIMSはStatic-SIMS,前章で述べたSIMS,nanoSIMSはDynamic-SIMSに当たり,得られる情報は両者で全く異なる [96] .
     2つの異なるラボラトリーでL2MS分析を実施したところ,それぞれ異なる結果が得られた.一方の分析では,Wild 2彗星塵から,主に78 – 300 amuの範囲のPAHs,つまり,ナフタレン(C10H8, 2環),フェナントレン(C14H10, 3環),ピレン(C16H10, 4環)とそれらのC1 – C4アルキル同族体に由来するイオンが検出された [24] .これらのマススペクトルはMurchison隕石と惑星間塵の中間のようなパターンであった(Fig. 19).また,強度を弱めたパルスレーザーを用いると,酸素や窒素を含む官能基が置換した芳香族化合物を推測させる101, 112, 155, 167 amuのイオンが,彗星塵や惑星間塵から検出された [24, 97] .彗星塵のマススペクトルに見られる300 amuより大きなイオンは,彗星塵がエアロジェルに高速貫入した際に,衝撃熱で芳香族炭素が縮合したことに起因すると考えられた.もう一方の分析ではKeystoneからベンゼンやナフタレンなどの1-2環のPAHsが検出された.しかし,エアロジェル中の彗星塵トラックでない領域からも同様のPAHsが検出されたため,本結果は彗星起源と見なされなかった.後者の分析ではエアロジェルに穴を形成するほど強度のCO2レーザーを用いたのが原因で,エアロジェルの炭素成分までもが熱変性してPAHsとして生成したのだと考えられた.後者はネガティブな結果となったが,両結果の比較があったことで,前者の測定から得られたPAHs分布が彗星起源であることが示唆された.
     TOF-SIMS分析からは,C9(2環)からC24(6環)までのPAHsの存在を示唆するC9H7+のような2次イオンが検出され,炭素数が多いPAHほどその相対量は減少していく傾向が見られた [24] .





Fig. 18. A principle of two-step laser desorption/laser ionization mass spectrometry (L2MS) In the first step (I), molecules are desorbed intact from a substrate with a pulsed IR laser. In the second step (II), the desorbed molecules are ionized with a pulsed UV laser. These ions are then extracted into a time-of-flight mass spectrometer [94]. Credit: Prof. Richard N. Zare, Stanford University. Figure courtesy of Dr. Max Bernstein, NASA Ames Research Center.



Fig. 19. The L2MS spectra of (a) Murchison carbonaceous chondrite and 5 stratospheric interplanetary dust particle (IDP) [77] and (b) Comet Wild 2 particle [24]. Reproduced by permission from The American Association for the Advancement of Science. 3-3-4-2.  コンドライト隕石中の有機物との比較 IV. 多環式芳香族炭化水素分析
     芳香環のπ電子が非局在化し安定した分子骨格を持つPAHsは,宇宙で最も豊富な有機分子の1つであると考えられている [98] .これまでにも,彗星コマの紫外分光観測でフェナントレン[99] とピレン[100] が検出されている.今回,スターダストミッションにおいてWild 2彗星塵中からPAHsを検出したことにより,彗星におけるPAHsの存在を観測と試料分析の両面から明らかにしたことになる.また,Wild 2彗星塵,炭素質コンドライト,惑星間塵に含まれるPAHsの炭素数(< C24)は類似することから [24, 45] ,これらのPAHsの起源や生成過程は同一である可能性も考えられる.
Naraoka et al. (2000) [101] は,炭素質コンドライトを溶媒抽出して検出したPAHs の個別炭素同位体分析を行い,PAHs(C14 – C22)の炭素数が増加するものほど炭素同位体比(-8.3 ~ - 25.2‰)が減少することを明らかにした.さらに,この同位体分布は炭素数が小さいPAHsから大きいPAHsを形成する環化反応を反映すると議論した.提示された反応機構では,炭素数が多いPAHほどその相対量は減少する傾向であるはずであるから,Wild 2彗星塵中から検出されたPAHsの量的分布もまた,本反応機構で説明することができるかもしれない.Sephton et al. (1998) [102] は,炭素質コンドライトを溶媒抽出して検出されたPAHsと,不溶性高分子量有機物を熱分解して生じたPAHsの個別炭素同位体比の値は類似することを明らかにし,遊離のPAHsと不溶性高分子量有機物の生成過程は互いに関連がある可能性を示唆した.本結果を考慮すると,遊離のPAHsの生成機構は,コンドライト隕石中の不溶性高分子量有機物が生成した環境に応じている必要がある.仮に不溶性高分子量有機物が原始惑星系円盤で生成したとすると,PAHsもまたその環境に存在するメタンやエタンから生じるといった反応機構が考えられる [103] .しかし,この反応が起こるには温度(900 – 1100 K)・圧力(10-7 – 10-6 bars)条件が限定され,円盤の寿命(106年程度)も考慮しなければならないので,結局は円盤に豊富に存在するPAHsを説明し難い [55] .一方で,PAHs がISMまた星周領域に普遍に存在するという考えは,数々の赤外分光観測より検出された赤外未同定バンド(UIRバンド)が芳香族炭素C-CとC-Hの波長に現れている事実に基づく[104, 105] .ISM中のPAHsは,ISMに存在する難揮発性有機物に様々な条件で起こりえた衝撃反応が作用することによって生成するのではないかという考え方が受け入れられている [55] .そして,ISM中の低温・高密度領域と高温・低密度領域との間で氷と有機物のダストが昇華と凝縮を繰り返し,UVや宇宙線による照射反応が連続するうちに,一部のPAHsは高分子量有機物を形成したというプロセスが考えられている [55] .この場合,コンドライト隕石中の不溶性高分子量有機物もまた星間起源であると説明される.ただし,ISMに存在すると推測されているPAHsは,C20程度からC200までと,炭素質コンドライトや彗星のPAHsに比べて炭素数の分布がかなり広い[104, 105].最近では,C200 ほどの炭素数の多いPAHs は環数の大きい一つの分子として存在するのではなく,環数の比較的小さなPAHsが集合したクラスターとして存在する可能性も提唱されている [106] .近年,室内実験で合成されたPAHsクラスターがUIRバンドに類似することが明らかにされてもいる [107, 108] .環数の小さなPAHsはクラスターの状態で保護されたまま炭素質ダストを形成し,後に遊離分子または不溶性高分子量有機物に変化したのかもしれない.
     今回のWild 2彗星塵のPAHs 分析においては不足点も指摘される.L2MSやTOF-SIMSでは定量分析を行うことができなかった.また両分析法も,試料中の遊離のPAHsと不溶性高分子量有機物中の芳香族ユニットを同時に検出するため,今回報告されたPAHsはどちらのフラクションがどの割合で寄与しているのか明らかではない.またL2MS分析では,レーザーによる彗星塵の熱分解で2次的にPAHsが生成し,必ずしも試料固有のPAHsを分析しているとは言い切れないという問題もある.個別成分分析はWet Chemistryの方が歴史も長く,分析法の基盤が築かれている.全てを最先端のサブミクロン/ナノ技術に頼るよりも,アミノ酸分析で適用されたように,溶媒抽出を行いクロマトグラフィーで分離し同定定量する分析法の感度をさらに向上させるといった課題にも等しく重点を置く必要がある.

4. 彗星塵のエアロジェル高速貫入が有機分析に与えた影響

     スターダストミッションにおける懸念の一つは,エアロジェルによる彗星塵捕獲時の衝撃熱が塵成分を変成したかもしれないことである.塵成分中,熱作用に比較的敏感な有機物にとっては無視できない問題である.本ミッションと同じ速度で様々な固体粒子をエアロジェルに高速貫入させた模擬実験[109, 110] によれば,大きさが10 μm以上の試料は衝突後も変成せず,融点が~ 600℃の含水ケイ酸塩鉱物もわずかに変成しただけであった.一方で,実際のWild 2彗星塵中の鉱物の結果は,一般にミクロンサイズより大きい成分は変成を受けていなかったがそれより小さいサイズのものは著しく変成しており,中にはシリカが溶融する~ 2000K以上の熱を受けたものもあることが明らかとなった [20] .変成を強度に受けた成分と変成をほとんど受けなかった成分が同じ試料中の微小領域に共存している事実は,極めて局所的な熱勾配があったことを反映している [87] .よって,有機物の熱変成の度合いについても一概に結論づけることは容易でない.
     室内実験研究では,ココア粉末とソーダ石灰ガラス球粒の混合物を,彗星塵捕獲時と同じ6.1km/秒でエアロジェル中に打ち込んだ場合の有機物の変成を評価している [24].その結果,試料のエアロジェル貫入後,全ての有機物はバルブ型(Bulbous)のトラックに伴って分布したが,試料のTerminal Particleからは検出されなかった.Wild 2彗星塵のXANES分析においても有機物が検出されたトラック試料は全てバルブ型であり,両結果は一致している.このような分布傾向から,塵捕獲時に有機物の一部は他成分と共に移動した可能性,あるいは蒸発し消失した可能性が指摘されている.この室内実験ではまた,エアロジェル貫入後のココア粉末の化学構造に結合の開裂や形成が見られているので,実際のWild 2彗星塵中の有機物についても比較的不安定な官能基の消失や変化が起こった可能性がある.彗星塵中の有機物の水素同位体比が炭素質コンドライトや惑星間塵のHotspotsの値ほど高くないものが多い原因が議論されているように(3-3-2-2),構造は保たれても水素の同位体分別は衝撃熱でもっと容易に起こったかもしれない.  一方で,ピレンなどのPAHsを同様にエアロジェルに打ち込み,その分布をL2MSで分析したところ,PAHsはトラックの先端からTerminal Particleまで全体に渡り分布していた [24].衝撃によってPAHsの一部は蒸発し消失したようだが,PAHsが酸化などの変成を受けた形跡はマススペクトルには見られなかった.他の実験では,Allende隕石の粉末を打ち込み,その分布をL2MSで分析した結果,有機物はほとんど蒸発せずにトラック全体に分布したことが分かった.試料のTerminal ParticleからもPAHsが検出され,その炭素数毎の相対比は,打ち込まなかったAllende隕石中のPAHsのものとほとんど変わらなかった.Allende隕石は母天体での熱変成を経験したCV3グループの炭素質コンドライトであり,その影響は有機物の構造にも反映されていることは諸研究から知られているので,さらなる加熱に対して大きな変化が見られないのは当然の帰結であろう.
     これら一連の室内実験から,有機物の分子構造によっても衝撃熱による変成の度合いは様々であることが分かった.しかしながら,Wild 2彗星塵中から検出された有機物が大規模な熱変成を受けたという決定的な証拠は見出されていない.一般に有機物は加熱によって芳香族化が進行するが,前章で既述のようにWild 2彗星塵中の有機物中の芳香族炭素の割合は相対的に低かった.さらに多種の含窒素・酸素官能基が検出されたことから,炭素質コンドライト中の有機物に比べて不安定な組成を保持していることも分かった.Wild 2彗星塵中の有機物の窒素同位体比は炭素質コンドライトや惑星間塵の値と近いことが示された.C=Oなどの酸素官能基はエアロジェル由来の炭素の酸化で生じたのではないことが議論された.これらの諸結果からはむしろ,始原的な地球外有機物の化学特徴が表れている.
     また,塵の表面が熱変成を受けても,塵粒子のサイズが比較的大きいものは内部への熱伝導が低いので,内部成分は変成を受けにくい可能性が考えられる.有機物は鉱物に比べて熱伝導性は低く,一般に分子が大きいものほど低い.さらに,スターダストミッションにおいて,彗星塵がエアロジェルに貫入してからTerminal Particleとして停止するまでに要した時間は,わずかナノ秒~マイクロ秒間弱と言われている.このような極短時間の加熱では,通常の加熱による有機物の変成とは異なりうることを考慮しなければならない.
     上記を総合すると,Wild 2彗星塵がエアロジェルに捕獲され激しい衝撃熱を受けた一部の有機物は消失し検出されなかったのかもしれない.しかし,一方でトラックに残存し検出された有機物は,強度の変成からは免れたのかもしれない,という可能性が推測できる.

5. スターダストミッションにおける他分析部門の結果との関連性

     スターダストミッションの全ての分析部門が共有する第一の結論は,「Wild 2彗星塵の成分は不均一である」[20, 24, 62, 87] .それが示唆するものは,原始太陽系星雲中で起こった,物質の大規模な混合である.高温環境で形成される鉱物,フォルステライト(Mg2SiO4)とエンスタタイト(MgSiO3)がWild 2彗星塵中から豊富に検出されたことが [20] ,太陽系の内縁から海王星の軌道の外側への物質移動を裏付けている.有機分析においても複数の前駆物質を想定させる結果が得られたことは,この混合のプロセスと関係があると思われる.
     もう1つの重要なポイントは,Wild 2彗星塵からは炭酸塩や含水ケイ酸塩が検出されなかったことである [87] .つまり,Wild 2彗星が水質変成を受けた証拠が見つからなかった.水質変成は有機物の化学反応にも関与することが知られている.炭素質コンドライト中の不溶性高分子量有機物の熱分解分析では,フェノール,アセトフェノン,アルキルチオフェンといった含酸素・硫黄化合物の相対量が水質変成の度合いをおおよそ反映する(例えばIvuna >Cold Bokkeveld > Murchison)ことが明らかとなっている [111] .しかし,Wild 2彗星塵のXANESやL2MS分析からそれらの存在を示す官能基およびイオンは得られていない.また3-3-4-3.で前述したようにアミノ酸の検出量も少なかった.これらのことも,水質変成を経験していないことの表れであると考えられる.
     Tsuchiyama et al. (2007) [112] は,Wild 2彗星塵のエアロジェル貫入トラックの形状と彗星塵の成分の関係性を見出す目的で,放射光を利用したマイクロトモグラフィーと蛍光X線分析でWild 2彗星粒子のトラックの3次元構造と元素組成を調べた.その結果,トラック中の鉄の含有量と彗星塵の体積の比,m(Fe)/Vt(m(Fe):鉄の含有量,Vt:彗星塵の体積)が,トラックの形状と相関することが判明した.彼らは,m(Fe)/Vtの値は彗星塵中の氷または有機物の割合に依存すると考えている.m(Fe)/VtはBulbousトラックにおいて最も低い値を示した.実際,我々がXANES分析を実施した15試料中有機物が認められた8試料はいずれもBulbous トラックから取り出されたものである.一方,Terminal particleのXANES分析からは,今のところ有機物は検出されておらず,その代わり鉄のX線エネルギー吸収(700 eV)が塵中の大部分で認められた.これらの結果はTsuchiyama et al.の議論と一致するようである.

6. 地球外有機物と生命の起源 ― Exogenous delivery

     “Exogenous delivery”の定義付けは科学者によって幾通りか存在する.ここでは,隕石や彗星の中に微生物が生存して地球に飛来してきたというパンスペルミア仮説(例えば [113])とは概念が異なり,生命を構成する材料である有機物が宇宙より地球に運ばれてきたことを指して述べる.これは,地球上の生命は地球で誕生したという考えにたち,生命を構成する材料となる無生物的に合成された有機物が彗星などにより運ばれてきたことを意味している.
     Chyba と Sagan (1992)[3] は,内因性 — すなわち地球の原始大気または熱水環境など — と,外因性 — 彗星や隕石などの地球外物質による輸送 — の両方の生命の誕生の源になる有機物合成の場があると述べた.ここで,内因性の合成が進行するにしても炭素源の存在が必要である.この場合,地球誕生前の塵中に含まれる炭素がもとになったと考えられるが,その後に地球に隕石・彗星などによってもたらされた外因性の炭素であっても良いであろう.今日のExogenous deliveryという考え方には,実際の試料中に有機物の存在を確認していること,38億年前以前まで続いた天体衝突が原始地球に供給した有機物フラックスの理論的推定(Table 3)[114],さらには有機物の衝撃耐性の実験的立証といった科学的根拠が基となっている.

Table 3. Major sources of prebiotic organic compounds in the early Earth [114]. Reproduced by permission from IOP Publishing Ltd.


* Conservative estimate based on posible cumulative input calculated assuming flux of 1022 kg of cometary material during the first 109 year of Earth's history. If comets contain 15 wt% organic matter and if ~10% of the mater survives, it will comprise approximately 1011kg year-1 average flux via comets during the first 109 year.



     Exogenous deliveryでは,必ずしもアミノ酸や糖といった生体関連有機化合物の状態で原始地球に運ばれる必要はないと考えられる.なぜなら,原始地球に運ばれた後の地球外有機物は,原始地球・海洋・大気で起こりえる様々な化学反応によって,さらに変化するからである.実際,炭素質コンドライト中の有機物のうち,アミノ酸等が相当する可溶性有機化合物の割合はわずか1-30%で,残りは芳香族性の高い高分子量有機物である [115] ことを考慮すると,生体有機分子とはむしろ直接結びつかない有機化合物が,原始地球上での有機炭素プールの中心的な役割を果たしたのではないだろうか.炭素質コンドライト中の不溶性高分子量有機物を含水加熱した諸実験で(例えば [102, 116]),不溶性高分子量有機物からPAHsや含窒素・硫黄・酸素芳香族化合物が分解生成したという結果が示されている.この実験結果からは,高分子量有機物が原始海洋で反応して芳香族炭化水素やより反応性の高い複素環化合物を多量に生成したかもしれないという解釈もできる.これをさらに発展させたのがEhrenfreund et al.(2006)[117] による“The Aromatic World”で,隕石中に含まれるPAHsまたは高分子量有機物そのものが,原始地球(または海洋)に運ばれた後に自己集合して脂質様の2分子膜を形成し[118] ,初期の代謝・鋳型反応を促したという仮説である.それらが膜として存在し働いたかどうかはまだ実証されていないが,芳香族性の高分子量有機物が原始地球環境で生体前駆物質の材料となった可能性は十分にある.加えて,炭素質コンドライト中の不溶性高分子量有機物の含水熱分解生成物には,PAHs に比べると若干量の炭素数4-12のジカルボン酸・ヒドロキシキノリン・ベンゾイミダゾール等の極性化合物も確認されている [116] .ジカルボン酸は尿素などの高極性分子と重合反応し,原始地球でのポリマー生成に重要な役割を持つ可能性が議論されており [119, 120] ,ヒドロキシキノリン,ベンゾイミダゾール等は有機窒素源となり得る.またWild 2 彗星塵からは,PAHs とは別に,芳香族に乏しく含酸素・窒素官能基に富んだ有機分子構造が見出された.このような多種多様な成分が高分子量有機物という形で原始地球に供給され,Aromatic World + αなる化学進化を展開していった可能性が考えられる.熱に比較的安定な芳香族化合物や高分子量有機物は,天体衝突時に多少変成したとしてもExogenousな有機物の供給源となり得る.同時に,高分子量有機物の一部は衝撃熱を受けて多量の揮発性成分を発生したであろうことも原始大気における有機物の蓄積に大きな寄与をしたかもしれない.Sugita and Shultz (2007) [121] は,N2-O2-Ar系の酸化的大気中,人工の有機ポリマー([C14H16O3]n)を金属銅板に高速衝突させたところ,シアン化水素(HCN)が大量に生成することを明らかにした.またポリマーの代わりに実際の炭素質コンドライトを衝突させた場合でもHCNと考えられる発光が認められている.HCNは反応性が高く,多くの生体関連有機物の出発物質となることが知られている [122-125] .この実験は,衝突天体が衝撃エネルギーを化学反応エネルギーとして使われると共に反応物質としても働き,化学進化にとって重要な寄与をした可能性を示した新しい視点での研究である.また,炭素質コンドライト中の不溶性高分子量有機物の含水熱分解実験では多量の酢酸も発生することが示されている [126] .酢酸はUVやγ線等のエネルギーで分解されやすいので [83, 127] ,さらに種々の反応の出発原料になった可能性もある.
     上記のように,炭素質コンドライトや彗星がExogenous deliveryの主要なキャリアーとなり,地球に運び込まれた高分子量有機物が生命の誕生の元になった可能性を述べてきたが,一方でStrom et al. (2005) [128] が提唱しているように,初期地球に集積した小天体は炭素質コンドライトや彗星ではなく,普通の小惑星であったという指摘も考慮すべきだろう.小惑星に有機物が存在するかは現段階ではまだ明らかではないが,一般多くの小惑星に起源をもつといわれている普通コンドライトには約 0.5 wt% < の不溶性高分子量有機物が含まれており,炭素質コンドライトの有機物以上に芳香族炭素が広範に縮合し,酸素原子の割合が比較的高い構造を持つことが分かっている [55, 60] .この場合でも地球外有機物が原始地球の有機炭素源の役割を果たす可能性は十分にある.その意味においても,日本の小惑星探査・サンプルリターンミッションではやぶさ探査機が持ち帰るS型小惑星「イトカワ」の試料の有機分析は,現実的なExogenous deliveryのキャリアー候補として隕石や彗星と同じぐらい興味深い.

7. まとめ

     スターダストミッションは,彗星の塵を初めて地球に持ち帰り,直接分析することに成功した.その初期分析の一環である有機物分析部門では,これまで未知であった彗星有機物の構造的・同位体的特徴を様々な最先端分光分析法を用いて明らかにした.本成果は太陽系で最も始原的な物質に含まれる有機物の化学進化に関する有用な情報を提供した.
     本総説では,Wild 2彗星塵の有機分析結果を,これまでに最も多く研究されてきた隕石有機物,また彗星を起源とする可能性を有する惑星間塵と主に比較した.そのまとめをTable 4に示した.Wild 2彗星塵から検出された有機物について,複数の分析結果が,始原的な地球外有機物の化学特徴を反映していることが理解できる.初期分析としては終了したがWild 2彗星塵の研究は始まったばかりであり,今後の継続的な分析,試料調整・試料分析・室内実験間での連携の強化,新たな研究アプローチの導入,等によって,より確かな知見を得ることが求められる.

Table 4. Comparison of chemical characteristics of organic matter from Comet/Wild 2 particles, chondrites, and IDP .






     最後に,スターダストミッションの有機分析部門については,近年の分析技術の開発と発展に加え,約半世紀に渡る地球外有機物研究の諸先駆者の偉業なくしては達成しえなかったことを,敬意とともに記したい.
     本総説は主に,2006年12月掲載のScience誌 [24] と2008年5月掲載のMeteoritics & Planetary Science誌[25, 37] に発表されたWild 2彗星塵有機分析の結果を基に執筆した.加えて,隕石有機物研究の近年の動向,生命の起源の研究観点からの考察,著者の若輩的見解,および2007年地球惑星合同大会での諸講演と著者の発表に対し頂いた質疑から得た議論を取り入れ,まとめた.

謝辞

     スターダストミッションに関わった全ての方々に感謝致します.著者の研究指導者であるGeorge D. Cody氏とConel M. O’D. Alexander氏(Carnegie Institution of Washington, USA)には,スターダストミッション初期分析チームへ参加する貴重な機会を頂きました.STXM-XANES分析に際してはA. L. David Kilcoyne氏と荒木暢氏(Lawrence National Berkeley Laboratory, Advanced Light Source, USA)から心強いコラボレーションとサポートを頂きました.また,図を提供くださったHenner Busemann氏(Open University, UK)とMax Bernstein氏(NASA Ames, USA)に感謝申し上げます.本総説の掲載を勧めていただき,原稿執筆にあたって懇切な助言をくださいました三田肇先生(福岡工業大学)に深く御礼申し上げます.1名の匿名査読者には有益なコメントを頂きました.この場をお借りして御礼申し上げます.

文献

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