THE SEARCH FOR EXTRASOLAR EARTH-LIKE PLANETS: SPECTRAL SIGNATURE OF ATMOSPHERIC EVOLUTION

Yumiko Oasa1, Nobuhiro Kikuchi2
izumi@radix.h.kobe-u.ac.jp



1Graduate School of Science and Technology, Kobe University
1-1, Rokkodai,-cho Nada, Kobe, Hyogo 657-8501 Japan, TEL/FAX: 078-803-6446
2National Institute of Information and Communications Technology
4-2-1, Nukui-Kitamachi, Koganei, Tokyo 184-8795, Japan
(Received April 18, 2006 Accepted October 13, 2006)

(Abstract)

We report the calculation of spectra for various extrasolar Earth-like planets, which characterize their temperatures and atmospheres for evidence of habitability and life. Future space missions such as Darwin and Terrestrial Planet Finder (TPF) will ultimately offer the opportunity to obtain spectra of extrasolar planets situated within the habitable zones of stars and search for signs of life. The atmospheric biosignatures such as ozone, carbon dioxide, and methane, which are abundant in the Earth, could be attributable to primitive life in extrasolar terrestrial planets. In order to explore the possibility of diagnosing the existence of life from spectra, we have calculated synthesized global spectra for hypothetical terrestrial planets. We performed calculations of radiative-convective equilibrium and radiative transfer, taking into account the global cloud distribution, viewing angles, seasonal variation in solar insolation and surface temperatures, and consequently, the infrared radiation emitted to space. The Earth is our only example of a planet whose atmospheric composition is the consequence of the supply of gas from the presence of life. We examine characteristics for the anoxic / low-oxygen atmosphere of the Archean / Proterozoic Earth with the evolution of oxygenic photosynthesis using the photochemical models coupled to radiative-convective equilibrium code. We compare the derived atmospheric spectral feature of extrasolar Earth-like planets with different age and discuss the detectability of atmospheric constituents of extrasolar terrestrial planets.

(Keywords)

extra-solar planets, search for life, biomakers, atmospheres

太陽系外に存在する生命を持つ地球型惑星の探査: 大気の進化段階に応じた惑星放射スペクトルの特徴

大朝 由美子1,菊地 信弘2
1神戸大学大学院自然科学研究科 (神戸市灘区六甲台町1-1 TEL/FAX:078-803-6446)
2情報通信研究機構 (小金井市貫井北町4-2-1)

1.序論

 地球のように,生命の生存可能な惑星は太陽系の他にも存在するだろうか? 太陽系外の恒星周囲に存在する地球型惑星の放射スペクトルから生命兆候となる大気微量成分を検出する方法によって,生命をもつ系外地球型惑星を探査する国際計画(TPF/DARWIN)が,欧米を中心に検討されている(e.g. [1]).現在のところ,赤外長基線干渉計と可視・近赤外コロナグラフ望遠鏡が手段の有力な候補となっている.なかでも赤外分光は,居住可能な軌道にある系外惑星の熱放射を観測し,地球型生命に特徴的なオゾン,二酸化炭素,メタンなどの大気成分を捉える最適な手法である.地球大気と生命の進化は密接な関係にあるので,観測スペクトルから生命存在の兆候を探るためには,生命のない,もしくは原始生命のみの地球型惑星がどのような大気環境及びスペクトルを持つのかを知り,生命の存在する現在の地球との相違点を認識しておく必要がある.本研究では,地球型生命の中でも,複雑な生命体への進化の可能性が期待される酸素呼吸を行う好気生命体に着目し,その進化に伴う酸素濃度の上昇などの影響で,惑星の大気化学組成や大気構造及び全球放射スペクトルがどのように変化するかについて調べる. ところで,地球型惑星におけるオゾンなど大気微量成分の検出可能性は,これまで主に晴天大気条件について検討されており,気象学的に大きな役割を担う雲の影響は考慮されていない[2].しかし,地球表面の約60%以上が雲に覆われていることから,系外地球型惑星も同様に地表面の大半が雲に覆われている可能性が高い.惑星が雲に部分的に覆われていると,雲の放射によりそのスペクトルは晴天大気スペクトルと異なる特徴を示す.従って,スペクトルによる大気成分の検出可能性についてより現実的に検討するためには,雲を考慮した大気モデルを用いる必要がある.
 そこで本研究では,地球型生命の有無,つまり酸素量の変化による惑星の大気組成・温度構造などの差異が,その放射スペクトルにどう影響を及ぼすかについて調べる.まず,鉛直一次元放射対流平衡計算と大気化学平衡計算に基づき,地球の大気組成/気候などの進化について数値シミュレーションを行い,進化段階に応じた大気モデルを構築した.次に,得られた大気モデルと地球の雲分布データを用いた放射伝達計算から観測モデルスペクトルを求め,雲放射の影響も考慮した赤外放射スペクトルの特徴,及び大気微量成分の検出可能性について検討した.

2.方法

 太陽光度の増大や酸素発生型光合成生物の誕生に伴う地球の大気組成と放射の関係について探るため,地球大気の進化を大まかに,
(1) 現在
(2) 低酸素(現在の10-3から10-1程度;原生代)
(3) 酸素なし(太古代)
と,酸素量に応じて三段階に分類する.太陽光度は,太古代では現在の約0.8倍,原生代では約0.9倍を仮定した[3].地球型惑星の赤外放射において雲の果たす役割は大きいが,従来の研究では晴天大気条件下のみモデル計算が行われており,雲による放射は考慮されていない[2].そこで本研究では,実際の雲分布データに基づいた放射計算を行った.
 まず,各段階に対して,異なる酸素量,太陽光度に応じた光分解反応を考慮した大気化学平衡計算[4]及び鉛直一次元放射対流平衡計算から,二酸化炭素,メタン,オゾンなど大気の組成・鉛直分布,温度分布などを求め,大気モデルを決定した.手順としては,最初に大気組成初期値を地質学的制約に矛盾しないように仮定し[5],放射対流平衡計算で温度分布を求め,それに基づいた化学平衡計算によって大気組成を計算するという反復計算を,結果が収束するまで5-10回程度行った.こうして得られた大気モデルと典型的な雲型毎に大気放射伝達計算を遂行した.
 雲については,国際衛星雲分類プロジェクト(ISCCP)による9分類の雲光学的特性を採用した.過去の地球における全球雲分布の情報は得られないため,現在の地球における海陸毎の雲頻度分布を平均化したものを援用した.さらに,進化段階に応じた海陸比[6]を仮定し,ECMWF大気大循環モデルによる雲の全球分布データから作成した雲型別の頻度分布に基づき,全球の熱放射スペクトルを得た.ここで,観測衛星から見込む惑星の方位角は一定でないため,衛星が極域の上空にある場合,赤道域の上空にある場合など数種類の状況を想定した.

3.結果と議論

 雲放射の影響を考慮したモデル計算によって,生命存在の兆候となる大気微量成分の観測量が変わることが示された.また,大気の進化に伴って,赤外スペクトルに表れる温度や大気吸収の特徴が変化することがわかった. 

(1) 現在の地球
 まず,我々が新しく開発した放射対流平衡計算及び放射伝達計算を用いて,現在の地球大気構造及び地球観測スペクトルが再現されることを確認した.次に,得られた全球スペクトルについて,雲の有無による相違点を比較すると,雲分布を考慮した場合には,雲の影響によって観測される輝度温度が平均地表面温度より下がること,オゾンなど大気の吸収量が見かけ浅くなることが示された(図1).また,観測で見込む領域によって雲頻度分布や海陸分布,気候等が異なることから,継続観測を実施すると惑星の光度が自転周期とほぼ相関して時間変動することがわかった.

 


Fig.1 Comparison of globally averaged infrared spectra with and without cloud. The brightness temperature of infrared spectra with cloud distributions (blue dotted line) is lower than that of clear spectra (red bold line). In addition, the cloudy spectra show apparent shallow depth of ozone absorption.

(2) 低酸素期
 酸素量の減少,すなわちオゾン量減少に伴い,成層圏の温度が低下することが示された(図2).酸素量が少なく,現在と異なる大気温度構造を持つ赤外スペクトルには,現在の地球よりも深い二酸化炭素の吸収が見られる.雲を考慮したスペクトル(晴れに比べて吸収量が見かけ小さくなる)においても,酸素量が現在の~1/1000以上では,生命兆候の手がかりとなる特徴的なオゾン吸収が検出されると期待される.

 


Fig.2 Comparison of the vertical temperature profile for the present Earth (red bold line), 0.1 times the present atmospheric level (PAL) of oxygen(green dashed), 0.01 PAL of oxygen (blue dotted), 0.001 PAL of oxygen (pink small dotted), and 0.0001 PAL of oxygen (light blue dash-dotted). For the case of lower atmospheric concentration of oxygen, which corresponds to the low concentration of ozone, the stratospheric temperature is significantly lower than the present Earth.

(3) 酸素なし
 太古代の地球大気中では,メタン菌の活動により,メタンが高濃度で存在した可能性が高い.メタンを考慮すると,酸素,つまりオゾンがほとんど存在しないために成層圏温度が低下する一方で,二酸化炭素とメタンの温室効果により現在同様の温暖な気候を維持できることが示された.同時にメタン量が多いほど高温多湿化傾向が見られた.さらに低酸素期と同様に,そのスペクトルには深い二酸化炭素の吸収が見られる.また,メタンが現在の~100倍以上存在する場合にはメタンの吸収スペクトルも見えてくることが分かった.

4.謝辞

 J. Kasting教授らには,化学平衡モデルについてお世話になりましたことを心より感謝いたします.また,本論文審査員の方にも有益なコメントを頂き,有難うございました.本研究は,神戸大学21世紀COEプログラム” 惑星系の起源と進化”に支援されております.

引用文献

[1] Beichman, C. A., Woolf, N. J. and Lindensmith, C. A. The Terrestrial Planet Finder (TPF): A NASA Origins Program to Search for Habitable Planets, NASA/JPL Publication No 99-3, California,1999.
[2] Schindler, T. L. and Kasting, J. F. Synthetic spectra of simulated terrestrial atmospheres containing possible biomarker gases, Icarus, 145, 262-271 (2000).
[3] Gordon, N. Solar variability on time scales of 105 years to 109.6 years, Proc. Conf. Ancient Sun, 293-320 (1980).
[4] Pavlov, A. A. and Kasting, J. F. Mass-independent fractionation of sulfur isotopes in Archean sediments: strong evidence for an anoxic Archean atmosphere, Astrobiology, 2, 27-41 (2002).
[5] Kasting, J. F. and Catling, D. Evolution of a habitable planet, Annual Review of Astronomy and Astrophysics, 41, 429-463 (2003).
[6] Condie, K. C. Plate Tectonics & Crustal Evolution 3rd edition; Pergamon Press, Oxford, 1989.

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