第31回 生命の起原および進化学会学術講演会に参加して

神戸大学 大学院 総合人間科学研究科 M2
泉 雄大
izumi@radix.h.kobe-u.ac.jp



 3月15-17日に山形大学 理学部で開かれた第31回 生命の起原および進化学会学術講演会に参加し,感じたことなどを書かせていただきたいと思います.
 われわれのグループが扱っているテーマは,宇宙,隕石表面を想定したアミノ酸の光(真空紫外,軟X線)による化学進化なので,アミノ酸(前駆体)の生成段階を扱っている横浜国立大の小林先生のグループの発表は非常に興味深いものでした.
また,われわれのグループの研究の結果から考えると,光によるオリゴペプチドへの重合反応は,それほど高い効率で起こるものではないため,タンパクの形成や最初の生命に至るには,他の伸長プロセスが必要と思われます.そのため,高温高圧の模擬熱水噴出口環境で,アミノ酸モノマーの状態よりもペプチドの状態の方が安定である(講演番号2)ことや,オリゴペプチドから合成を始めたほうが高効率で伸長作用が進む(講演番号10)という発表は,宇宙から生命の材料が運ばれた後の高分子生成プロセスを考えるうえで非常に興味深いものでした.しかし,ホモカイラリティーの獲得が生命の重要な特徴であることや,熱によるアミノ酸のラセミ化が報告されていることを考えると,模擬熱水噴出口環境でのカイラリティーに関する議論も必要であると感じました. 光による場合も同様に,今回私が発表したように(講演番号7),わずか1種類ずつしか確認できていないが,光ラセミ化が起こるアミノ酸と起きないアミノ酸があるので,より詳細な実験,議論を深める必要があると感じました.加えて,円偏光のような不斉な力をエネルギー源とした反応(特に合成か?)に関する研究を進めていきたいと思いました.
 また,奈良女子大の池原先生の[GADV]-アミノ酸,[GADV]-タンパク質ワールド仮説に関する発表は,アミノ酸合成実験で生成されるアミノ酸の一部しかわれわれの体内で使われなかったのか,なぜ20種なのかといった残された問題の1つに解を与えうるもので,今後の展開を楽しみにしたいです.
 ISOLABを含めると,今回で3回目の参加でしたが,年々テーマの範囲が広く,また深くなっていると感じました.来年,神戸大学で開催される第32回の講演会を今回以上に活発な議論のできる場にできればと思っています.
 最後に,質問やコメントをいただいた皆様,旅費の補助をしていただいた「生命の起原および進化学会」に深く感謝いたします.
 

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