Session 9 : "EXTRASOLAR PLANETARY SYSTEMS"
(地球と生命の共進化)

Shigeru Ida
Department of Earth and Planetary Science, Tokyo Institute of Technology
Ookayama 2-1-10, Meguro-ku, Tokyo 152-8551
FAX: 03-5734-3538 EMAIL: ida@geo.titech.ac.jp

Since 1995, more than 160 extrasolar planets have been discovered. The recent rapid development of extrasolar planets allows us to expect existence of Earth-like planets in extrasolar planetary systems. In this session, present status and future perspective of observation of extrasolar planets and development of planet formation theory are reviewed. In particular, extrasolar terrestrial planets and possibility of extrasolar life are focused. More than 10 percent of solar type stars in our galaxy may harbor Earth-like planets having ocean on their surface. Near future space telescopes will try to detect bio-markers, such as ozone, in the planetary atmosphere.

Key words: astronomy, extrasolar planets, terrestrial planets
   このセッションでは、近年発展が著しい太陽系外の惑星(系外惑星)について、太陽系外生命の可能性を念頭において、紹介することを目的として構成した。講演は、以下の4つの招待講演である。
1. 佐藤文衛(国立天文台・岡山)
  Current Observations of Extrasolar Planets
2. 小久保英一郎(国立天文台・三鷹)
  Formation of Terrestrial Planets and the Origin of Water on Earth
3. 井田茂(東京工業大学)
  Formation probability of habitable planets in extrasolar planetary systems
4. 上野宗孝(東京大学)
  Future Observations of Extra-solar Terrestrial Planets
   1995年の人類初の太陽系外の惑星(系外惑星)の発見から10年が経った。その間に160個をこえる系外惑星が次々と発見された(探索された太陽型恒星のうち実に5〜7%に巨大惑星が発見されている)。佐藤は、現状での観測データ、観測結果の包括的なレビューをした。これまでに発見された系外惑星のほとんどは、太陽系とは異なる軌道をもつ惑星であった。観測の制限により、それらの多くは、太陽系で言えば木星や土星クラスの巨大惑星に限られている。太陽系の木星、土星は地球型惑星の軌道の遥か外側(軌道半径は各々5.2AU, 9.6AU; AU は地球の軌道半径)をゆったりと(軌道周期は各々12年、29年)円軌道で周回している。ところが、発見された巨大惑星たちの多くは、母星すれすれを周期数日という猛スピードで尾を吹き出しながら周回し続ける"ホット・ジュピター"や、彗星かと思うような長楕円の軌道を描き、夏冬の温度差が100度以上にも達する"エキセントリック・プラネット"といった惑星たちだった。
   しかし、それらが多く見つかったのは観測のバイアスによるものであり、観測の精度が上がるにつれて、太陽系を彷彿とさせる半径が大きい円軌道をまわる巨大惑星もだんだんと発見され、 発見された系外惑星系に占める太陽系類似惑星系の割合は年々増えてきている。このことは、地球と同じような軌道半径、サイズを持ち、海を有するであろう惑星も多数存在すると予想させる。
   一方、2004年以来、20倍の地球質量以下というような、おそらく岩石か氷でできている固体惑星もすでに5個も発見された(木星や土星のようなガス惑星ならば、地球質量の100倍はあるはず)。うち1個は地球質量の10倍以下というものである。岩石でできていれば地球型惑星であるし、氷ならば、表面が融解した"海惑星"になっているはずである。これはこれで、地球とは違うタイプの生命を宿す惑星となり得る。
   これらを受けて、系外惑星へ生命へというのが、惑星科学だけではなく、天文学においても大きな流れとなってきている。
   小久保はそもそも地球型惑星はどのようにして形成されるのか、太陽系ではどうだったのか、系外惑星ではどうなのかを議論した。小久保の議論によると、惑星形成が行われる原始惑星系円盤として、太陽系を作った原始太陽系円盤と同様のものを考えると、かなり高い割合で、地球と同じような軌道半径、サイズを持ち、海を有することが可能な惑星が形成されることになる。ただ、問題は、そのような惑星が形成される円盤の領域は、一般に"dry"で、形成される惑星に水が含まれない。生命誕生には液体のH2Oの水(海)の存在が重要であると考えられるので、惑星にどのようにして水を供給するのかが大きな問題になる。このことに関するいくつかの説が紹介されたが、まだよくはわかっていない。
   井田の講演では、半経験的な(経験的な観測データを一部組み込んであるという意味)惑星形成理論モデルをもとに、系外惑星の軌道半径、サイズの分布を予測した。惑星形成過程はカオスなので個々のケースの詳細な予測は不可能だが、カオスであるゆえに詳細な初期条件に依存せずに、形成される惑星の平均的大きさなどのアンサンブル平均は小さな分散でよく決まる。円盤の質量分布は電波観測によって得られているので、系外惑星のサイズ、軌道半径分布は必然的なものとして予測可能である。また、推定される原始太陽系円盤の質量は、観測される円盤の平均値に対応していることがわかる。つまり、太陽系に類似に惑星系はたくさんあることが期待できる。結果として、太陽型恒星が、地球と同じような海を有することが可能な惑星を持つ確率は10%を超えると考えられると井田は示した。
   このような地球類似惑星の検出は、地上からは無理であるが、宇宙望遠鏡でなら可能である。特に、宇宙干渉計を打ち上げて、系外地球型惑星の光を中心星から分離して直接観測し、 惑星大気のスペクトルからオゾンやメタンの吸収線を検出して、系外生命の兆候(バイオマーカー)までもが観測可能になる。このような将来計画(日、米、欧)については、上野が紹介した。  地球類似惑星が見つかる日、系外生命の証拠が見つかる日は近いであろう。 そのとき、アストロバイオロジーは新たな展開をみせるはずである。


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